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「……果凜、」

言わずもがな。
あたしのセリフを遮ったのは、果凜その人だった。

「な、んだよ……そういうハナシ、何であたし抜きで進めてんだよ?!」

がつ、と岩壁が蹴り上げられる。
だから……果凜には、まだ黙っていようと思ったのに。

「……まだ、置いてくとは決めてないよ。果凜の様子見て、それで――」

「だからっ!そうだとしても、何で……!」

多分果凜は、あたしの意図を察している。

『姉貴……』

果凜の隣に佇むキラは、不安げにあたしと果凜を交互に見る。
……あたしだって、果凜と別れたいわけじゃない。
(そこんとこは勘違いしないように)

「だってさ。果凜がもし、本当にここに残りたくても。それでも果凜は絶対、あたしと来るって言うでしょ?」

「……っ、」

果凜は質問には答えず、視線を逸らす。
――即ち、肯定。

「だからさ。それはあたしが判断するしかないじゃん。あたしは、あんたにとって一番いいようになって欲しいんだよ」

もちろんそれは、果凜だけじゃないけど。
だからあたしはあのとき龍妃を連れていくことを決めたし、他の……例えば小夏やまひるにしたってそうだ。

「……じゃあちとせ。今度はあたしから聞くぜ。……それで、答えは出たのか?」




…………そんなの、




「出た。よ」



家を出るときに、あたしは決めたんだ。
あたしはあたしのやり方で、人間とポケモンがそれぞれ幸せになれるようにするんだ、って。

……だから、


「嘘つき」

気配を殺して静かに。
あたしの背後から、聞こえる声。

あたしの言葉が嘘なのか。
「嘘つき」と言った、彼女の言葉が嘘なのか。



嘘をついているのは。


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