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「皆、もう少し静かに…というのは今更だから言わないけれど、せめてもう少し落ち着きなさいな」

凜とした声は、あやめのもの。
途端に、みんな大人しくなった。

「ちとせ。それで、あなたはどうしたいの?」

あたし…は、

「ヤダ。お見合いなんて、絶対いや」

だって、初恋すらまともにしてないのに。
いきなりお見合いで結婚だなんて。

「そう。なら、取るべき道はふたつ。直談判か、」

「直談判が通じるような母様じゃないよ」

話してわかってくれるような母様なら、こんなにも悩んだりなんてしない。

「…ならば、もうひとつ。強行突破です」

「強行、突破?」

ゆっくりと。
あやめは、頷いた。

「このままお見合いも嫌、お母様と話もつけられない…と、なれば、残る道はあとひとつ。自分で、自分の相手を見付けるのです」

それは、なんだかとても素敵な提案だと思った。

「やる!あたし、強行突破する!」

「でもよぉ、ちとせ。強行突破ったって、どうすんだよ?」

「それは…」

まひるの言葉に、一気に冷静になった。
好きな人なんて、見付けようとして見付けるものでもない。

「少し、考えさせて」

多分、あたしの人生を大きく変えることになる決断だから。
もう一度、あやめの言った言葉の意味を何度も繰り返した。

「ま、好きなだけ悩めよ。俺たちはお前の決めた道についてくからさ」

普段はちょっと小うるさいまひるだけど、やっぱりいざっていうときには頼りになる。
まひるの言葉に安心して、あたしは珍しく真剣に頭を使った。
(次の日、知恵熱が出たのはご愛嬌だと思う)


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