6 「皆、もう少し静かに…というのは今更だから言わないけれど、せめてもう少し落ち着きなさいな」 凜とした声は、あやめのもの。 途端に、みんな大人しくなった。 「ちとせ。それで、あなたはどうしたいの?」 あたし…は、 「ヤダ。お見合いなんて、絶対いや」 だって、初恋すらまともにしてないのに。 いきなりお見合いで結婚だなんて。 「そう。なら、取るべき道はふたつ。直談判か、」 「直談判が通じるような母様じゃないよ」 話してわかってくれるような母様なら、こんなにも悩んだりなんてしない。 「…ならば、もうひとつ。強行突破です」 「強行、突破?」 ゆっくりと。 あやめは、頷いた。 「このままお見合いも嫌、お母様と話もつけられない…と、なれば、残る道はあとひとつ。自分で、自分の相手を見付けるのです」 それは、なんだかとても素敵な提案だと思った。 「やる!あたし、強行突破する!」 「でもよぉ、ちとせ。強行突破ったって、どうすんだよ?」 「それは…」 まひるの言葉に、一気に冷静になった。 好きな人なんて、見付けようとして見付けるものでもない。 「少し、考えさせて」 多分、あたしの人生を大きく変えることになる決断だから。 もう一度、あやめの言った言葉の意味を何度も繰り返した。 「ま、好きなだけ悩めよ。俺たちはお前の決めた道についてくからさ」 普段はちょっと小うるさいまひるだけど、やっぱりいざっていうときには頼りになる。 まひるの言葉に安心して、あたしは珍しく真剣に頭を使った。 (次の日、知恵熱が出たのはご愛嬌だと思う) |