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――コン、コン。

サラに教えてもらったダルトンのお屋敷は、確かに辺りで一番大きくて立派なのですぐにわかりました。
門番の方にリュッタを探している、と伝えると、案外あっさりと中へ通していただきました。
やはり、リュッタとダルトンはかなり仲がよいみたいです。

「ダルトン様、リュッタ様。お客様をお連れしました。……ヴィオレット様、どうぞ」

「あ、えっと……どうも、です」

そしてダルトンとリュッタがお茶をしているというサロンに案内されると、中にはゆったりソファに座ったおじさんと、赤紫の髪をした女の子がいました。

「む……?君は?」

「あの、わたし、酒場にお世話になってる冒険者のヴィオレットです。リュッタを探してここまで来たですが、」

「おいらを?何か用なのかい?」

ぴょこんと躍るように、リュッタがわたしの前に飛んできました。
わたしもそんなに身長が高くはないですが、リュッタはホビットだからでしょうか。更に小さいです。

わたしは理由を話してリュッタの頭を触らせてもらいました。
……ですが、指輪は見つかりません。

「なかったの〜?……あ、そういえば」

「何か心当たり、あるですか?!」

「うん、さっきおいら、ここに来る前に裏山で昼寝したんだ。もしかしたら、そのときに落としたかも?」

「裏山、ですか……」

もう、空はだいぶと夕焼けに染まっているでしょうか。
早く行かなければ、指輪を見つけることができません。

「わかりました!ありがとうございます、リュッタ!」

「ヴィオレット君、といったかね?本来私のような貴族は庶民とは口を聞かないものだが、私は心が広いのでね。特に、お菓子が好きなのだったらいつでも歓迎するから、また時間のあるときに来てくれたまえ」

「はいっ!お邪魔しました!」

さあ、早く裏山に行かなくては……!
ダルトンのお屋敷を飛び出したわたしは、夕日で赤く染まった裏山目指して走ったのでした。

――本当は少し、先日のレーシィ山での件があるから一人で行くのは怖いのですが。
でも、お昼寝できるくらいだからきっと大丈夫でしょう。
そう、言い聞かせて。わたしは、コロナの裏山へ急ぎました。


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