4 「炎よ!!」 凜、と響くのは聞き覚えのある声。 その声に、沈みかけていた意識が急に引き上げられる。 「いっくぜー!ぅおりゃあああ!」 ざっ、とわたしの横を走り抜けていった赤色。 あれは…… 「アル、ター……?」 「バカ、喋るなヴィオレット」 そう言ってわたしをゆっくり抱き起こしたのは、青色。 「マーロ……、」 どうして、アルターもマーロも……、 「喋るなって。……くそ、血が止まらねえ」 「なんだよ、マーロ。お前、応急手当もできないのか?」 「……っ、うるさい!今やって、」 「ほら、貸してみろよ。応急手当ってのはこうやるもんだ」 そう言ってアルターは、くるくると器用に包帯を巻いていきました。 「あ、りがと……ございます……ア、ルター、マーロ」 「へへ、いいってことよ!」 「……それよりアルター。ガーゴイルは?」 「ああ、ビビって逃げてったぜ。せっかくオレ様のキューキョクの技、"アルタースラッシュ"をお見舞いしてやろうと思ったのによ」 アルターの言葉にマーロは顔をしかめたのでしょうか。そんな気配がします。 「アルタースラッシュ……?」 「ああ、オレ様が繰り出す技は何でもアルタースラッシュだぜ。オレ様らしい、ハデでイカした名前だろ?」 自信満々のアルターの言葉に、今度ははっきりとマーロの溜息が聞こえました。 「……こいつ、バカだバカだと思ってたけど、本当のバカだ……」 ……それは身も蓋も無いというのでは。 「ん?何か言ったか?」 「……何でもない。それより、早くヴィオレットを」 「そうだな。早くアエリアのとこに連れてかねーと……って、おいマーロ。お前にヴィオ運べるわけねーだろ、オレに任せろって」 「…………っ!……頼む」 ――そんな彼らのやり取りを耳にしながら。 わたしの意識は、今度こそ深く沈んでいったのでした――。 ――ヴィオレットよ。今回のことで身に染みてわかったじゃろう。 お前はまだまだ未熟だ。 四月の終わりに、お前の運命に纏わる重大な出来事がある。 それまでに己を鍛え、仲間を募るのじゃ。 よいな? ………… |