4 教えていただいた通路に入ってすぐのところに、魔力訓練室はありました。 ちらりと中を覗いてみれば、赤、青、緑……いろんな色の炎がついたり消えたりしています。 そしてその部屋の中心に、マーロはいました。 しかし、何やらとても集中しているみたいなのです。 話し掛けてもいいものでしょうか。 と、部屋の前でうんうん悩んでいると。 「……覗いてないで、入るなら入ってくれば?」 邪魔にならないようにこっそり覗いてたつもりでしたが、マーロは気付いていたみたいです。 わたしが顔を出すと、マーロは少し驚いたように目を見開きました。 「あんた、昨日の」 「はいです、ヴィオレットです」 「……覚えてる。で、何の用?」 「はい、マーロに謝りたくて来ました」 するとマーロは少し眉間にシワを寄せて、小さく首を傾げました。 「おれに?……何で」 「あの、昨日初対面で女の子に間違えてしまってマーロに悪いことを言ってしまいましたので……わ、悪気はなかったのですよ!ただ、本当に綺麗だなぁって思って、」 ごめんなさい!と頭を下げれば小さな溜息のような声。 やはり怒ってる、でしょうか……? ちらりと顔を上げて様子を窺ってみると、なんと形容したらよいのでしょうか……マーロは複雑な顔をしていました。 少し顔が赤い、です? 「…………別に、慣れてるからいい」 「ありがとうございます、マーロ!初対面で失礼をしてしまい、嫌われたらどうしようかと思っていたです」 ルーの言った通り、あまり怒っていなくてよかったです。 するとマーロはぱちぱちと瞬きをして、ぷっと吹き出しました。 「え、わたし、何か変なこと言ったですか?」 「変っていうか、それでわざわざここまで謝りに来たやつなんざ、あんたが初めてだよ」 「だって、マーロに初対面から嫌われたらどうしようかと本当に心配したですよ!」 本当にマーロはもう怒ってはいないようで、少し安心しました。 「……変なやつ。それよりあんた、よくこの部屋がわかったな。ナヴィに聞いたの?」 「いえ、お名前はお聞きしてないですが、マーロと同い年くらいの男の子に教えていただきました」 するとわたしの答えに、マーロの表情が険しくなりました。 「……どんな?」 「えーと……、」 一瞬しかお話しなかったので少し記憶が怪しいですが、それでも記憶に残る彼の特徴を伝えれば、いよいよもってマーロの表情が不機嫌そうになってしまいました。 |