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教えていただいた通路に入ってすぐのところに、魔力訓練室はありました。
ちらりと中を覗いてみれば、赤、青、緑……いろんな色の炎がついたり消えたりしています。
そしてその部屋の中心に、マーロはいました。

しかし、何やらとても集中しているみたいなのです。
話し掛けてもいいものでしょうか。
と、部屋の前でうんうん悩んでいると。

「……覗いてないで、入るなら入ってくれば?」

邪魔にならないようにこっそり覗いてたつもりでしたが、マーロは気付いていたみたいです。
わたしが顔を出すと、マーロは少し驚いたように目を見開きました。

「あんた、昨日の」

「はいです、ヴィオレットです」

「……覚えてる。で、何の用?」

「はい、マーロに謝りたくて来ました」

するとマーロは少し眉間にシワを寄せて、小さく首を傾げました。

「おれに?……何で」

「あの、昨日初対面で女の子に間違えてしまってマーロに悪いことを言ってしまいましたので……わ、悪気はなかったのですよ!ただ、本当に綺麗だなぁって思って、」

ごめんなさい!と頭を下げれば小さな溜息のような声。
やはり怒ってる、でしょうか……?

ちらりと顔を上げて様子を窺ってみると、なんと形容したらよいのでしょうか……マーロは複雑な顔をしていました。
少し顔が赤い、です?

「…………別に、慣れてるからいい」

「ありがとうございます、マーロ!初対面で失礼をしてしまい、嫌われたらどうしようかと思っていたです」

ルーの言った通り、あまり怒っていなくてよかったです。
するとマーロはぱちぱちと瞬きをして、ぷっと吹き出しました。

「え、わたし、何か変なこと言ったですか?」

「変っていうか、それでわざわざここまで謝りに来たやつなんざ、あんたが初めてだよ」

「だって、マーロに初対面から嫌われたらどうしようかと本当に心配したですよ!」

本当にマーロはもう怒ってはいないようで、少し安心しました。

「……変なやつ。それよりあんた、よくこの部屋がわかったな。ナヴィに聞いたの?」

「いえ、お名前はお聞きしてないですが、マーロと同い年くらいの男の子に教えていただきました」

するとわたしの答えに、マーロの表情が険しくなりました。

「……どんな?」

「えーと……、」

一瞬しかお話しなかったので少し記憶が怪しいですが、それでも記憶に残る彼の特徴を伝えれば、いよいよもってマーロの表情が不機嫌そうになってしまいました。


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