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「着いたよ、ヴィオ。ここが魔法学院だよ」

「うわぁ……すごく、大きな建物です」

あれから大通りを少し行ったところの路地を曲がり(ルーは近道だと言っていました)、わたしたちは魔法学院の前に到着しました。

「じゃあ、あたしはそろそろギルドに戻るよ」

大きくて綺麗な建物を前に、本当に入っていいものか悩んでいると、ルーがそう言いました。

「ルーは中には入らないですか?」

「あたし、ここの堅苦しい雰囲気苦手なんだー。それに、今ちょっとギルドの用で出てただけだからそろそろ戻らなきゃ」

それは残念ですが、仕方ないです。
ルーは

「じゃあまたね!今度は盗賊ギルドにも遊びに来てよ!」

と言うと、あっという間に人混みに紛れてしまったのでした。

「行ってしましました……」

一人ぼっちになってしまい、少し淋しいです……が、ここまで来たからにはやはり魔法学院の中に入るしかありません。

勇気を出して中に入ってみれば、なんと言いましょうか……独特の雰囲気に包まれています。
しかしいざ魔法学院に来たものの、学院のどこにマーロがいるかを聞くのを忘れていました。
これではマーロに会えません……!

見たところここはかなり広そうですし、マーロも同じ部屋にずっといるとは限りません……やはり、今日は出直すべきでしょうか……。

しかし、これは天のお導きでしょうか。
途方に暮れてぐるぐる歩き回っていると、なにやら人を発見したのです!

「あ、あのっ!」

その人が向こうに行ってしまう前に、と呼び止めれば、学院の生徒さんでしょうか。マーロと同い年くらいの男の子です。

「何?君、見ない顔だけど……編入生?編入生だったらスタット先生の、」

「い、いえ!わたし、マーロに会いたくて来たですが……マーロはどこにいますか?」

すると、男の子は一瞬不愉快そうに眉を……え、気のせい、でしょうか?
むっとした様子で右手の方を指して「あっちの魔力訓練室だよ」とだけ言うと、さっさと歩いて行ってしまったのでした。

わたし……何か失礼でもしたでしょうか……?

しかし既に彼の背中は遠く、彼の後ろ姿にお礼を言って、わたしは教えていただいた部屋を目指してみることにしました。


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