3 「着いたよ、ヴィオ。ここが魔法学院だよ」 「うわぁ……すごく、大きな建物です」 あれから大通りを少し行ったところの路地を曲がり(ルーは近道だと言っていました)、わたしたちは魔法学院の前に到着しました。 「じゃあ、あたしはそろそろギルドに戻るよ」 大きくて綺麗な建物を前に、本当に入っていいものか悩んでいると、ルーがそう言いました。 「ルーは中には入らないですか?」 「あたし、ここの堅苦しい雰囲気苦手なんだー。それに、今ちょっとギルドの用で出てただけだからそろそろ戻らなきゃ」 それは残念ですが、仕方ないです。 ルーは 「じゃあまたね!今度は盗賊ギルドにも遊びに来てよ!」 と言うと、あっという間に人混みに紛れてしまったのでした。 「行ってしましました……」 一人ぼっちになってしまい、少し淋しいです……が、ここまで来たからにはやはり魔法学院の中に入るしかありません。 勇気を出して中に入ってみれば、なんと言いましょうか……独特の雰囲気に包まれています。 しかしいざ魔法学院に来たものの、学院のどこにマーロがいるかを聞くのを忘れていました。 これではマーロに会えません……! 見たところここはかなり広そうですし、マーロも同じ部屋にずっといるとは限りません……やはり、今日は出直すべきでしょうか……。 しかし、これは天のお導きでしょうか。 途方に暮れてぐるぐる歩き回っていると、なにやら人を発見したのです! 「あ、あのっ!」 その人が向こうに行ってしまう前に、と呼び止めれば、学院の生徒さんでしょうか。マーロと同い年くらいの男の子です。 「何?君、見ない顔だけど……編入生?編入生だったらスタット先生の、」 「い、いえ!わたし、マーロに会いたくて来たですが……マーロはどこにいますか?」 すると、男の子は一瞬不愉快そうに眉を……え、気のせい、でしょうか? むっとした様子で右手の方を指して「あっちの魔力訓練室だよ」とだけ言うと、さっさと歩いて行ってしまったのでした。 わたし……何か失礼でもしたでしょうか……? しかし既に彼の背中は遠く、彼の後ろ姿にお礼を言って、わたしは教えていただいた部屋を目指してみることにしました。 |