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窓の外。
ちらちらと白い、私たちの使い魔たちが舞いはじめた。

ふわりふわりと舞い落ちれば、私たちが支配する季節が訪れる。
一年のうち、私の身体が少しだけ自由になる季節。

「それで、あんまり綺麗だからオリアスとアイニが……紗雪?」

「なに、セーレ」

「さっきからちょっとぼんやりしてたから。疲れたかな?」

そう言ってセーレは私の身体をいつも気遣ってくれる。
……出会ったときから、そう。
この自由にならない身体が疎ましい反面、あのとき倒れたからこそセーレに出会えたのだと思うと、複雑な思いに駆られる。

しかし、今日に限って言えば体調が悪いのでも疲れたのでもなく、少し考え事をしていたのだ。

世間では間もなく訪れるクリスマスというイベント。
外から隔離された私でも、その様子は氷月やシルビィから話を聞くため知識としては知っている……が、やはり外出できない身ではイルミネーションなどはなかなか見られるものではない。
先程からのセーレの話は、街はすっかりクリスマスイルミネーションで彩られていたという話で。
一度もそれを見たことがない私は、一度でいいから。
叶うのであれば、セーレとそれを見てみたい……と。
少し、そんなことを考えていた。

「いいえ。疲れてはいないわ。ただ……、」

「ただ?」

どこまでも優しいこの人は、私の言葉の先を待つ。

「……ただ。イルミネーションが見たいって……思ったの」

冬の夜は早く、もう間もなく辺りは宵闇に包まれるだろう。
窓の向こう、遠くに赤や緑の光が小さく見える。

「そっか。紗雪は……イルミネーションを見たことがないんだね」

我が事のように、ひどく残念そうにセーレは言った。

「……紗雪。もし、君が望むのなら」

少しの間を置いて、彼は口を開く。

「少しだけ、外に出てみない?」



それは、とても魅力的な提案だった。


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