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「お世話になりました!」

長らく滞在したキキョウシティに別れを告げ、私たちは次の街…ヒワダタウンへ向けて、出発した。

風音は私の左を足取り軽く歩き、蒼衣は相変わらずあまり口は開かないけれど、反対側で私の隣から離れることなく歩く。
翡翠はといえば、さすがに擬人化の時間が長かったのが疲れたのか、今はチコリータの姿に戻ってしまっているけれど。
なぎはボールの中で待機中。

自然に囲まれた道を抜け、高架をくぐり、いよいよ繋がりの洞窟が見えてきた、そのとき。

声が、聞こえた。

「おいしいヤドンのしっぽは如何ですかぁ?」

サ、と何か…冷汗のようなものが、背筋を駆け抜けた。

ヤドンの、しっぽ。

これから連想されるのは、則ち。

「……ロケット団…?」

いや、まさか。
まだ確証は持てない。
でも、何かもやもやしたものがひっかかる。

ちらり、と横目で声の主を確認すると、中年と呼ぶに相応しい頃合いの男性。
男の脇に見えるのは、ピンクの塊。

自慢ではないが、ことなかれ主義の私としては面倒なことにはあまり首を突っ込みたくない、のだけれど…その痛々しい桃色を見て、ひどく悲しい気持ちになった。
一抹の不安を胸に抱きながら、問い詰めるだけの確証もなく、後髪を引かれるようにひとまず私はその男性の前を通りすぎた。

さあ、いざ繋がりの洞窟!


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