1 結局ジム戦を終えたあと、私たちはキキョウにもう1泊することにした。 風音のダメージを回復するのと、単に私が観光したいのと、2つの理由で。 風音をポケモンセンターに預けて回復を待つ間、私たちはキキョウシティ周辺を散策することにした。 「カナエちゃん、カナエちゃん」 「なに、翡翠」 「風音、大丈夫かなぁ?」 普段喧嘩(というより一方的にいじめられている)ばかりしているけれど、やっぱり心配なんだね。 私は屈んで翡翠に視線を合わせ、言った。 「大丈夫だよ、ジョーイさんがちゃんと治してくれるからね。それに…あの、元気な風音が治らないと思う?」 そういたずらっぽく聞いたら、翡翠はぷ、と吹き出した。 「ううん、思わない!」 「でしょ?だから、夕方になったら風音を迎えに行こうね」 「うん!」 そうして私たちはキキョウシティを少し出たところにある草むらまでやってきた。 「えーっと…西に行けばアルフの遺跡で、南が繋がりの洞窟…ね」 アルフの遺跡にも行ってみたいけれど、風音が回復してから皆で行った方がいいかな? なんてことを考えていると、翡翠がぱたぱたと走って草むらに入って行った。 やっぱり、草が周りにあると落ち着くんだろうか? 草むらでごろごろしていたかと思ったら何かを見つけたようで、視線をそこに定めたまま手を伸ばした。 伸ばした、が。 |