Side:A


6月が梅雨で雨が降り続くっていうのはこの世界でも同じらしい。
おかげでここしばらく、どうにも身体の調子が悪かったんだけど、久々に今日は太陽が顔を見せてくれた。

「…と、いうわけで晴れてるうちに買い物すませちゃいたいんだけど行くひとー?」

ポケモンセンターの一室で思い思いにくつろいでいる皆に聞くと、真っ先に手を挙げたのはなぎ。

「久しぶりのいい天気だもの、外に出たいわ」

「あ、そやったらあたしも行くわ。雨ばっかりで辛気臭ぁてかなわんかったんや」

「僕も、」

と、炬と蒼衣が便乗して、結局買い物は4人で行くことに。
翡翠あたり真っ先に着いてくると思ったんだけど、珍しく今日は居残り組のようだ。

「じゃあ、行ってくるね」

翡翠と風音を部屋に残し、私たちはフレンドリィショップへ。
外に出ると、昨日までの雨が嘘みたいに晴れていて、むしろ少し暑いくらいだった。
(そういえば、日焼け止めなんてフレンドリィショップで売ってるんだろうか?)

さんさんと輝く太陽は夏の訪れを感じさせる陽気で、なんだか少しわくわくした。
(だってここはアサギシティ、海沿いの街だもの!)

ポケモンセンターから目と鼻の先にあるフレンドリィショップで傷薬や携帯食料を買い込んで外に出ると、辺りはすっかりオレンジ色に染まっていたけれど、潮風とはまた少し違った湿り気を含んだ風が吹き抜けた。
どうやら、明日の天気も微妙そうだ。
今日買い物に出て正解だったなぁ、なんて思うと同時に、明日のことを考えると気が重くなった。

「姉ちゃんは雨が嫌いなんか?」

そんな私の様子を見た炬が「まあ、あたしも好かんけどな」と言った。

「嫌いっていうかね、雨が降ると体調が悪いからね。さて…と、ただいま!」

部屋の扉を開くと、そこには

「あ、カナエちゃん!お帰り!」

「カナエカナエ!これ、アタシと翡翠で作ったのよぅ」

ずらり、とカーテンレールに並ぶのは、6つのてるてる坊主。

「カナエちゃん、雨だと元気ないからさ」

ニ、と翡翠は笑った。
行かないって言ったのって、てるてる坊主を作るため?
窓際に寄って手に取ると、

「これ、」

よく見たら、てるてる坊主の表情がみんな違う。
これは翡翠に似てるし、こっちはなぎみたいだし…

「よく描けたっしょ?で、こっちがカナエちゃん!」

真ん中にぶら下がっていたてるてる坊主を翡翠が指差す。
にっこり笑ったてるてる坊主の裏側に、何か書いてあった。
それは、


"明日天気になぁれ!"


なんだか、明日も晴れるような、そんな気がした。


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