1 なんだかとても不思議な気分。 ロケット団…彼らはこれから、どうするんだろうか。 「大丈夫だよ、カナエ。彼らはきっと、約束を守る」 ふと隣から聞こえてきた言葉に、口に出して考え込んでいたのかと恥ずかしくなったが、よく考えたら隣にいるのは蒼衣だ。 私の考えなど、お見通しなのだろう。 本人曰く、 「絶対読まれたくないだろうこととかは、不思議と入ってこないよ」 …だ、そうで。 多分、サーナイトに進化したことで力を制御できるようになったんだろう。 さっきまでロケット団員で溢れていただろうラジオ塔なのに、今はすっかりもぬけの殻。 ウィイン…と自動扉がゆっくりと開く。 その先に、待っていたのは。 「カナエさん!」 「大丈夫だったかい、カナエちゃん」 「ヒビキくん!それに…カイトさん!」 ラジオ塔半ばで別れたヒビキくんに、コガネ入りしてからなかなか連絡のとれなかったカイトさんが、揃って私を待っていた。 そして、 「君がカナエちゃんか…ありがとう、礼を言うよ」 グレーのスーツがよく似合う、初老を少し過ぎた頃の男性が一礼する。 「私がこのラジオ局の局長だ」 「あ、いえ…私は別に、」 「子供が謙遜などするものではないよ」 そう言って、局長は優しく笑う。 聞けば、局長はラジオ塔内ではなく、なんと地下に閉じ込められていたそうだ。 カイトさんはその捜査をしていたらしく、連絡が取れなかったのだと言う。 そのカイトさんが、さてと口を開いた。 「出て来たばかりで疲れてるとこ悪いんだけど、先にちょっと話を聞かせてもらえるかな?まだロケット団の幹部格が捕まっていないんだ」 「あ…はい、」 そうだ…彼らがどんな思いを秘めていようと、彼らのやっていたことは"不特定多数のみんな"にとっては"悪"なんだ。 彼らが内に秘めた優しさは、きっと私しか知らない。 私が頷いたのを確認すると、カイトさんは局長の方を向き、 「局長もすみませんが、少し捜査にご協力願えますでしょうか」 「ほっほ。構わんよ」 「助かります。では、一度署の方へ」 …と、いうわけで。 私たちはカイトさんに連れられるまま、交番へと場所を移動した。 私の冒険が、始まった場所。 |