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私は…私は、何がしたかったのでしょうか。

ただ真っ白で何もない天井を見上げ、そう思う。



周囲の期待に応えるのが辛かった。
できて当然。と、誉めそやされることもなく。
できなければ、なんて様だと罵られる。
ただ結果を残すことだけにあくせくして、過程に目を向けなかった日々。

羨ましかった。
私が努力して出した以上の結果を、何もせず簡単に出してしまうラムダが。
私はいつまでたってもラムダの後ろで、2番目でしかなかった。



ある日ラムダは突然別れを告げた。

「ここは退屈過ぎて死にそうだ」

行き先は告げなかった。
だから、二度と会うことはないと思っていた。
とうとうラムダを越えることはできなかったという虚無感。

しかし意外にも、再会はすぐだった。
再会をしたラムダは、ロケット団員となっていた。

「よォ、ランス。お前も一緒に来ねぇか?」

私は迷った。
いつまでたってもラムダの次でしかないという不安と、もう抜かすことができないと思っていたラムダを越えられるチャンスかもしれないという望みの葛藤。

そしてその葛藤は長くは続かず、私はこう答えた。

「行きましょう」

ラムダはにやりと口の端を吊り上げた。


完全なる個人の成果主義という点では、あそこはとても居心地がよかった。
他人と比較されることもないから私の努力はすぐに認められ、入団してそう間もなく幹部へと昇格した。

「ひょお。ランスよぉ、お前、オレより才能あるんじゃねえの?」

…ただ、ひとつ。
何のためにポケモンを傷付け、無意味に捕らえるのか…その理由だけは、わからなかった。
任務をこなす度に痛む心を「私は冷酷」だと思い込むことでごまかし続けた。
いつの間にかそれはロケット団に広まり、私の二つ名となっていた。

そんな、ある日。

いつものように、ヤドンのしっぽを切るという何のためかもよくわからない任務のために、私はヒワダへ赴いた。

そこで、彼女と出会った。
少女というには少し遅く、レディというにはまだまだ未熟な。
まっすぐな目をした彼女が…私は、羨ましかったのかもしれない。
純粋な絆で、ポケモンと結ばれている彼女が。

だから、思わず。

「早く行っておあげなさい…彼女のポケモンは、ひどい怪我です」

自分のせいで、とは言えなかった。
そうすることでしか、私は。償うことができなかった。


彼女は今、どうしているだろうか。
ふと頭をよぎったが、いやいやと頭を振った。
今の私には、どうこう言う資格もない。


……さあ、ここに留まるのはもうやめましょう。
モンスターボールと、一冊の本だけを持って。
私は、ロケット団本部をあとにした。


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