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チョウジの地下での一件のあった日の夜。
炬はカナエちゃんを連れて、外に出て行った。
多分、あの様子からしたら帰ってくるのはもう少しあとだろう。

ぼす、とベッドにダイブして、白い天井を見上げた。
今回俺は出番がほとんどなかったけど…それが、逆に悔しい。
ロケット団が何を考えてて、何が目的なのかは俺にはわからない。
けど、あいつらのせいでカナエちゃんが悲しそうな顔をするのなら、俺はそれを見たくないんだ。

だから…俺は、

「もっと強くならなくちゃ、ね」

ベッドの脇から聞こえたのは、俺が言おうとしたのと全く同じセリフ。

「なんだよー、垂。俺の考え読むとか、蒼衣みたいな力持ってるわけ?」

さっきまで窓際で空を見上げてた、垂。

「まさか、そんなわけないでしょう?あなたは顔にすぐに出るのよ。……それに、」

真っ直ぐ、垂は俺を見据える。

「悔しいのは、あなただけじゃない。私だって、カナエの悲しむ顔は、見たくないわ」

だから、と。

「私は、もっと強くなる。カナエの笑顔を、守りたいから」

「そうだね、それは俺も同感」

俺たちの太陽みたいなその笑顔が曇ると、とんでもなく淋しいんだ。

「なになに、何の話ぃ?」

がちゃ、と風呂場の扉が開いた。風音だ。

「んー、次ロケット団に会ったら許さないってハナシー」

「ふーん、」

がしがしと頭を拭きながら風音は生返事を返す。
(どうでもいいけど、髪拭きながら水滴飛ばすのはなんとかならないのか)

「ま、確かに。おかしな連中よねぇ」

溜息ひとつ。
でもまあ、カナエちゃんもよく変なのに巻き込まれるもんだと思う。
(いやマジで)

「とにかく、次にあいつらに、」

次に会ったときには、と。続けようとしたとき。
今度は、部屋のノブが回った。


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