1 チョウジの地下での一件のあった日の夜。 炬はカナエちゃんを連れて、外に出て行った。 多分、あの様子からしたら帰ってくるのはもう少しあとだろう。 ぼす、とベッドにダイブして、白い天井を見上げた。 今回俺は出番がほとんどなかったけど…それが、逆に悔しい。 ロケット団が何を考えてて、何が目的なのかは俺にはわからない。 けど、あいつらのせいでカナエちゃんが悲しそうな顔をするのなら、俺はそれを見たくないんだ。 だから…俺は、 「もっと強くならなくちゃ、ね」 ベッドの脇から聞こえたのは、俺が言おうとしたのと全く同じセリフ。 「なんだよー、垂。俺の考え読むとか、蒼衣みたいな力持ってるわけ?」 さっきまで窓際で空を見上げてた、垂。 「まさか、そんなわけないでしょう?あなたは顔にすぐに出るのよ。……それに、」 真っ直ぐ、垂は俺を見据える。 「悔しいのは、あなただけじゃない。私だって、カナエの悲しむ顔は、見たくないわ」 だから、と。 「私は、もっと強くなる。カナエの笑顔を、守りたいから」 「そうだね、それは俺も同感」 俺たちの太陽みたいなその笑顔が曇ると、とんでもなく淋しいんだ。 「なになに、何の話ぃ?」 がちゃ、と風呂場の扉が開いた。風音だ。 「んー、次ロケット団に会ったら許さないってハナシー」 「ふーん、」 がしがしと頭を拭きながら風音は生返事を返す。 (どうでもいいけど、髪拭きながら水滴飛ばすのはなんとかならないのか) 「ま、確かに。おかしな連中よねぇ」 溜息ひとつ。 でもまあ、カナエちゃんもよく変なのに巻き込まれるもんだと思う。 (いやマジで) 「とにかく、次にあいつらに、」 次に会ったときには、と。続けようとしたとき。 今度は、部屋のノブが回った。 |