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静かな空間に、私の靴音が響く。
靴音が大きいんじゃない。ここが、静かすぎるのだ。

あれから…不気味なくらい、私たちはスムーズに地下を進むことができた。
ロケット団員が出てこないどころか、人がいる気配も感じられない。
ラムダさんが何かしたのか、あるいは…

「罠、とか…?」

罠を張るメリット。
この場合いろいろ考えられるけど、第一はやっぱり油断した私たちを襲撃しやすくするため。

でも、そうなるとさっきのラムダさんの言葉とは、つじつまが合わない。
別にラムダさんの言葉を信じてるわけじゃないけど、妙にひっかかる。

それに、ここを仕切っているのがラムダさんだけだという確証もないのだ。
(さっき、ラムダさんがランスさんの格好をしていても、あのロケット団員は不思議に思っていなかった。つまり、複数の人間が仕切っている可能性があるのだ)

「なんかさぁ、」

蒼衣はこちらを振り向く。

「よくわからないよね、ロケット団って」

ランスさんもラムダさんも、何の意図があるのか…それが本心かどうかもわからない。
まあ、ランスさんにいたっては、私が直接聞いたわけじゃないけど。

『でも、少なくとも嘘はついてなかった』

「別にあんたを疑ってるんじゃないよ」

ぽんぽん、と蒼衣の頭を軽く撫でてやると、小さく体をよじらせた。
進化しても、これは相変わらず。

…かと思えば、突然蒼衣は身体をこわばらせ、辺りを見回し始めた。
何か…?

「…蒼衣?」

『近くに、大きな気配がする…、』

そして、間もなくその気配は私にも伝わる。
私は、この気配の持ち主を知っている。

そして、その気配は段々とこちらに近づいてきて、そして。

「君は…、」

突き当たりの曲がり角から現れたその人は、いかりの湖で出会った、マント姿の男だった。


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