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タンバジムを突破して、アサギに帰ってきたのが2日前。
風音の背中に乗っけてもらったおかげで帰りはすごく快適で、何より翡翠が酔わないのがよかった。
(一度酔うとなかなか回復しないんだもん、そりゃ心配だ)

で、その翌日…つまり、昨日。
アサギジムに挑戦しようとその扉を叩くと、そこにいたのはアサギの灯台で出会った、ミカンさんだった。

「あれ…ミカンさん?!」

「あら、カナエさん!」

あの時は思い出せなかったけど、そういえばよくよく記憶を辿ればアサギのジムリーダーってミカンさんだった気がする。

「カナエさん、もしかしてジムの挑戦?」

「うん、でもミカンさんがジムリーダーだって忘れてたからびっくりしちゃって、」

「え?」

「あ、ううん。何でもない!」

危ない、まさか本人目の前にして「10年前のことなんで忘れてた」なんて言えない。
ミカンさんが鋼タイプの使い手なら、炬は確定で…あとは垂かなぁ。

…なんてことを考えてたら、ミカンさんがふいにこちらに歩み寄ってきた。

「カナエさん、」

ス、と私の目の前に差し出されたのは、きらきら銀色に光るジムバッジ。

「え、ミカンさん?」

「あの…これは私からのお礼。アカリちゃんを助けてくれて、本当にありがとう」

「え、いいよ!ちゃんとバトルするよ!」

「ううん、カナエさんに受け取って欲しいの。カナエさんには、その資格があるから。あなたとあなたのポケモンたちの絆は、このバッジを持つに値するから」

そう言ってミカンさんは、私の手にぎゅっとバッジを握らせた。

「あ…ありがとう、ミカンさん!」

きらりと輝くスチールバッジ。
私たちの、絆のあかし。

「そのかわりと言っては何なのだけど、」

ミカンさんは、小さくはにかんで言った。

「また、アサギに遊びにきてくれないかしら?アカリちゃんも、きっと楽しみにしてるから、」

「うん…!私も、ミカンさんやアカリちゃんにまた会いたい!」

約束、と握手をして、私たちはアサギシティをあとにした。


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