1 潮風の香る街、アサギシティに辿り着いたのは、陽も傾き始めた頃のこと。 港町というだけあって、今までの街にはない活気に溢れている。 「カナエ、アサギではどこに行くの?」 キョロキョロと物珍しそうに風音は辺りを眺める。 アサギシティかぁ…特にこれといって決めてきたわけじゃないけど、 「とりあえず、灯台かな?」 アサギの灯台。 夜の海を明々と照らすその明かりは、確かアカリちゃんというデンリュウが発していたはずだ。 「なぎ。なぎのお友達に会えるよ」 「本当?楽しみだわ」 嬉しそうに、なぎは顔をほころばせる。 もうすぐ陽が暮れるから、海を照らす様子が見れるはず。 「カナエちゃん、カナエちゃん。アサギは食堂のご飯がおいしいって!」 船乗りのお兄さんとなにやら話をしていた翡翠が、にこにこと戻って来た。 どうやら、ご飯のおいしいお店を教えてもらったらしい。 「じゃあ、今日の晩御飯はそこで食べよっか!」 あ、でも晩御飯にはまだもう少し早い。 そうだなぁ、せっかくだから灯台は夜に光っているときに見たいし… 「もうちょっと海のほうまで行って、船とか見に行こうか!で、ご飯食べて灯台に行こう!」 船はチケットがないから乗れないけど、見るだけならタダだもんね。 あ、そういえばアサギの次はタンバだっけ? あそこ海を渡らなきゃ行けないはずだけど、どうしよう? とりあえず、船着き場で聞いてみよう! タンバまで船とか出てたらいいなぁ。 なんて考えながら、私たちは港の方へ向かった。 |