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アサギシティへと続く、のどかな38番道路。
近くに牧場があるみたいで、言われてみれば牧歌的な雰囲気かもしれない。

「あ、牧場ってあれかな?」

向こうの方に見える、広々とした緑。
まばらに見えるピンク色は…あれは、

「げ、もしかしてあそこに居るのミルタンク?うわー俺トラウマなんだってー」

ひく、と頬を引き攣らせて翡翠が言った。
…そういえば、コガネ戦でアカネちゃんのミルタンクに思いっきり吹っ飛ばされたんだった。
体の小さいチコリータの時とはいえ、翡翠にとってはちょっと悔しかったようだ。

「あ、アタシ牧場行きたいなー。ミルク飲みたーい」

ちらり、と翡翠を横目で見ながら風音は言った。
その目は間違いなく笑っていて、

「風音!お前絶対わざとだろ!」

「あぁら、何のことかしらー?」

むきになる翡翠、からかう風音。すっかり日常になったやりとり。
(むきになるから風音がおもしろがるのに、翡翠も学習しないなぁ)

「でも、私もちょっと疲れたし…牧場で、休憩もいいんじゃないかしら?」

にこにことなぎに言われると、翡翠もなぎには反論できないようで。
(何かもごもごと言いたそうだったのは、炬が『男のくせにごちゃごちゃ言いな!燃やすぞ!』と、一喝した)
(草タイプの翡翠にとっては洒落にならないのだろう、途端に黙った)

「翡翠。そう言うけど、ミルクは好き」

くすくす、と楽しそうに蒼衣が言った。
少し顔を紅くした翡翠が言葉に詰まったので、そろそろ助け舟を出してあげようかな。

「翡翠、翡翠。嫌なら牧場の中に入らなくてもいいからさ。いい天気だし、ちょっと休憩しない?ミルクも買ってあげるしさ」

すると翡翠は「カナエちゃんが言うなら、」と頷いた。
身体は大きくなっても、中身はまだまだかわいいなぁ。

「じゃ、行こうか」

アサギシティの少し手前の、寄り道。


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