1 某月某日。 路銀が尽きた。 「え…ない…!」 エンジュシティのポケモンセンター。 少し早めの夕食を取りながら、ふと荷物を確認していたときのこと。 「…?カナエちゃん、何がないの?醤油なら今なぎが使ってるよ」 もぐもぐ、と口いっぱいほお張りながら、翡翠はなぎを指す。 「あ、ごめんねカナエちゃん。すぐ終わるから、」 慌てて醤油をさっと目玉焼きにかけ、私の方に差し出す。 「ちっがーう!」 ばん!と私は机を叩く。 「ないのよ、お財布とか入れてたポーチが!それに、私は目玉焼きにはソースなの!」 「え、マヨネーズでしょ?」 プチトマトを口に運びながら、風音が言った。 いやいや、話が逸れている。 「目玉焼きのことはさておいて!えー…どこで落としたんだろう…」 コガネシティを出るときには確かにあった。 自然公園か、37番道路…かなぁ。 でも、今からコガネ方面まで探しながら戻ったら、確実に夜中になるなぁ… でも、お財布入ってるし… 「カナエ、どうするの?」 一足先に食べ終わり、箸を置いて蒼衣が言った。 「うーん…もう暗くなってきたし、エンジュの手前だけでも探してみよっか」 もしかしたらすぐそこで無くしたかもしれないし。 「了解!」 翡翠は元気よく言ってご飯をかきこみ、 ご飯を、喉に詰まらせた。 |