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某月某日。
路銀が尽きた。



「え…ない…!」

エンジュシティのポケモンセンター。
少し早めの夕食を取りながら、ふと荷物を確認していたときのこと。

「…?カナエちゃん、何がないの?醤油なら今なぎが使ってるよ」

もぐもぐ、と口いっぱいほお張りながら、翡翠はなぎを指す。

「あ、ごめんねカナエちゃん。すぐ終わるから、」

慌てて醤油をさっと目玉焼きにかけ、私の方に差し出す。

「ちっがーう!」

ばん!と私は机を叩く。

「ないのよ、お財布とか入れてたポーチが!それに、私は目玉焼きにはソースなの!」

「え、マヨネーズでしょ?」

プチトマトを口に運びながら、風音が言った。
いやいや、話が逸れている。

「目玉焼きのことはさておいて!えー…どこで落としたんだろう…」

コガネシティを出るときには確かにあった。
自然公園か、37番道路…かなぁ。
でも、今からコガネ方面まで探しながら戻ったら、確実に夜中になるなぁ…
でも、お財布入ってるし…

「カナエ、どうするの?」

一足先に食べ終わり、箸を置いて蒼衣が言った。

「うーん…もう暗くなってきたし、エンジュの手前だけでも探してみよっか」

もしかしたらすぐそこで無くしたかもしれないし。

「了解!」

翡翠は元気よく言ってご飯をかきこみ、



ご飯を、喉に詰まらせた。


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