1 行きたいところがある、ってカナエちゃんが言ってたんだ。 きらきら眩しい街、コガネシティ! 右を向いても左を見ても、空に届きそうなくらい高い建物がたっくさん! キョロキョロしながら歩いていたら、「置いてくよー」ってカナエちゃんが言った。 こんなところで迷子になったら大変だから、僕はちょっと走ってカナエちゃんを追いかけて、それからまっすぐ前を見て歩いた。 「あれ、おかしいな…このあたりのはずなんだけど」 立ち止まってカナエちゃんも辺りの建物を見回してる。 『迷ったの?』 僕が聞いたら、うーん、とカナエちゃんはアイマイな返事をした。 つまり、迷ったということで。 「もうちょっと探して、見付からなかったら誰かに聞こっか」 どうして?って聞いたら、なるべく自分で見付けたいんだ、ってカナエちゃんは言う。 よくわからないから、僕は『ふーん』って言うだけだった。 それからすこぅし歩いて、角を曲がったところでカナエちゃんは足を止めた。 「み…見付けた!」 ようやく、目的の建物を見付けたみたい。 よし、と言ってカナエちゃんは扉を開けた。 建物の中は、からっぽだった。 |