1 「あれ、カナエさんじゃん!」 なんだかんだでウバメの森を抜け、次の街…コガネシティへと向かう途中。 何だか久しぶりに聞く声に呼び止められた。 見ると少し先に、やはりというかヒビキくん。 「ヒビキくん!久しぶり!」 そんなにいうほど久しぶりでもない気はするけど、道中何だかいろいろありすぎて久々に会うような錯覚。 「カナエさん、今時間ある?俺のじいちゃん家、すぐそこなんだ!」 「わ、そうなんだ!行く行く!」 まだもう少し、陽の暮れるには時間がある。 それに、ヒビキくんともいろいろ話をしたいし、おじいさんの家からコガネシティはすぐそばらしい。 と、いうわけで。 私たちはヒビキくんのおじいさんの家にお邪魔することにした。 「ところでさ、カナエさん」 「何?」 「俺…今さ、ウツギ博士に頼まれて、アイツ…研究所からポケモン奪った奴追ってるんだけど、」 燃えるように紅い髪を持つアイツ…金銀編の、ライバル。 私はヨシノシティとマダツボミの塔で見かけたきりだけど。 「俺、この間ヒワダに行ったときアイツ見付けてさー。捕まえてやろうとしたら、バトルになっちゃって」 「へぇ、それで?」 「バトルには勝ったけど、逃げられた」 くそー、と悔しそうにヒビキくんは言う。 「そっか…私もウツギ博士に、彼を見かけたら何とかして欲しいって頼まれてるんだ」 「カナエさんも?」 私は頷く。 「アイツ、シルバーって名前だよ。俺、トレーナーカード見たんだ」 シルバー、くん。 やっぱり金銀編のライバルなんだ。 「わかった、ありがとね。ヒビキくん」 「いいって!…あ、そこの家じいちゃん家!」 おーい、と民家の前に佇む老人にヒビキくんは手を振る。 どうやらあの人がヒビキくんのおじいさんみたいだ。 |