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ふわり、ふわり。

温かいぬるま湯に包まれて揺蕩う感覚。

あれれ。
わたし、さっきまで買い物に行ってたんじゃなかったっけ?

思い出そうとしても思考はなんだかうまく纏まらなくて、この心地よさにうとうとしてしまう。


「……カナエ………カナエ……」


だれ?

私の名前を呼ぶのは、

「待っていた。其方を、待っていた」

待ってた、なんて言われても貴方誰よ。

「愛しき仔よ、我は待とうぞ。……の…で……のを……」

最後は何だか声が遠ざかって、よく聞き取れなかった。

ふわふわと浮かぶ中で、相変わらず辺りは真っ白…と、いうよりはほんの少し蜂蜜色の光に包まれていて。

上を向いても下を見ても、前後左右を見渡しても何処から声が聞こえていたのか、思えばそれも分からなくて。
そもそも私はこれからどうすればいいんだろう。
確かにここは気持ちいいんだけれど、いつまでもふわふわ浮かんでいるわけにはいかない。
ぐるりともう一度辺りを見渡すと、遠くに一カ所。周りと色の違うところがあった。

出られるかもしれない。

ここで浮かび続けているよりは、幾分マシだろう。
そう思った私は、その一点を目指して進み始めた。

段々白っぽい黄色っぽい光が薄れてきて、そして。

「え、あ、ちょ………きぃやぁああああ!!!」

その境目が何処だったのか分からないままに。



落ちた。


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