4


『もー!カナエってばどこ行ってたのよ!』

『カナエちゃん、僕が勝手にお散歩行ったときすっごい怒ったのに!』

元居た場所に戻るなり、出迎えてくれたのは風音と翡翠のありがたいお言葉だった。

「ご…ごめん、みんな…!誰かに呼ばれた気がして…気がついたら、」

ぱちくり、と。
風音も翡翠も、なぎも瞬きをして私を見る。

『カナエちゃん…僕たちの声、』

あは、と笑って私は言った。

「うん、なんかさっき…聞こえるように、なったんだ」


私もまだよくわからない…けど、とりあえずわかることを皆に説明した。

と、言っても…
不思議な声に呼ばれている間のことは、ほとんどぼーっとしていて曖昧なんだけれど。

鈴の音、不思議な声と…謳。
謳の内容は、ほとんど覚えていない。
…と、いうより、無意識に音楽を聞き流しているような…そんな、感覚。
そして、風が吹き抜けると共に私の耳にいろんな声が聞こえ始めた。


『…まぁ、不思議なこともあるもんだわねぇ』

『でも、私は嬉しいわ。カナエちゃんとお話できるもの』

「私も。こっちにきてから、皆と自由に話ができたらいいのに、って、ずーっと思ってた」

私の言葉は通じるのに、皆の言葉がわからなくてもどかしかった。
だから、何でかわからないけど…私は、すごく嬉しい。

皆で話しながら食べたお昼ご飯は、いつもよりおいしく感じた。


[*prev] [next#]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -