2 ポケモンセンターでの回復を終え、皆元気になったところで、いざウバメの森へと足を踏み入れた。 まだ昼間だというのになんだか薄暗い、けれど、木漏れ日が差し込んでいてすごく綺麗。 翡翠もなんだか楽しそうにちょこちょこと着いてくる。 さくさく、と毛足の短い草を踏み分けるのが心地よい。 ここなら、みんなを出してあげても大丈夫かな? おいで、と皆をボールから出してやると、皆気持ち良さそうにのびのびとしている。 風音は進化して大きくなった翼を広げ、ばさり、と羽ばたいた。もう、怪我をしていた面影はない。 そういえば、蒼衣…というか、ラルトスって進化するのかな? 今まであまり気にしていなかったけれど、そういえば私は新しいポケモンについては何も知らない。 蒼衣が進化したらどんな子になるのかなぁ… なんて考えていると、風音がまた翡翠をいじり始めたみたいだ。 チコ、チコ!と翡翠が慌てて走って私の後ろに隠れる。 元々相性的にも風音の方が強い上に、進化したら殊更頭が上がらないんだろうなぁ。 「こら、風音!翡翠いじめちゃ駄目でしょー」 ピジョ、と風音が楽しそうに鳴いた。進化してもおてんばさんなのは相変わらずだ。 お腹もすいてきたし、そろそろお昼にしようかな、と思い始めたとき。 シャラララ 音が、聞こえた。 え、と辺りを見回しても森が広がるばかりで何もない。 そろそろ気のせいと片付けることもできないくらい、この鈴の音を聴いている気がする。 おかしいなぁ、と首を傾げたとき。 声が、聞こえた。 …で……おいでませ… 我……み……んの…君… 多分、それは無意識…というより、何かに引き寄せられるように。 ふらり、と私は立ち上がり、声に誘われるように歩き出した。 |