2 話は少し前に遡る。 アタシはカナエの指示でガンテツのおじいちゃんと井戸の入口に残っていた。 どうなるかわからない状況で怪我をしたおじいちゃんを一人にしておけないし、かといって少しでも早くにヤドンたちを助けないといけないし。 アタシだってカナエの力になりたかった、一緒に行きたかった…けど、カナエがこっちについてて、って言うから。 それに、アタシ、今ポケモンの姿じゃないし。 奥の様子はわからない。 ただ、時間だけが過ぎる。 遅いわよぅ、中で何をやってるの? 居ても立ってもいられなくなって、中の様子を見に行こうか…と、思い始めたとき。 中から、人が出て来た。 透き通るような緑の髪をした、少し冷たい感じの男の人。 その人はちらりと私を見て、少し考え込んだあと…言った。 「貴女…カナエさんの仲間、ですか?」 「そ、そうだけど…何でカナエの名前、」 「早く中に行っておあげなさい。彼女のポケモンたちは…ひどい怪我です」 どうしてこの人がカナエを知ってるのかはわかんなかったけど、ともかく、アタシはガンテツおじいちゃんに「すぐ戻るよ」と言って、井戸の奥へ駆け出した。 アタシが去った後、その男の人が 「彼女には…すまないことをしました」 そう、呟いていたのをアタシはしっかりと耳にした。 |