4 辺りに、誰も居ないことに。 今は夕暮れ。 夕飯の支度を控えた主婦や家路に付く子供達で賑わう時間帯。 現に、さっきまでスーパーの中も外もごった返していたのに。 どうして、誰一人として居ないのか。 おかしい。おかしいおかしいおかしいおかしい。 ねえ、誰か。 街は静かだった。 静か過ぎるくらい、静かだった。 先程まで賑わっていた様子はそのままに、人だけ消えてしまったような不思議な景色。 足下の歪みは一度弱まり、膝の辺りまで飲み込まれただろうか。身体に力が入らない。 「何なのよ…もう…!」 そう、呟いたとき。 遠くの方で雷が鳴った。 続いて、辺りが眩しい光に包まれる。 あれ? 普通逆じゃない? 雷って、光が先に見えるんじゃない? そう思っているうちに辺りは段々強い光に包まれ、真っ白になって、そして。 私は、そこで意識を手放した。 うっすらと覚えているのは、小さな小さな…子供の手のようなものに手を引かれて、ふわふわと彷徨ったような、そんな朧げな記憶。 そして、シャラシャラという鈴のような音。 目を覚ましたとき、そこに何が待ち受けているのか。 この時の私は、知る由もなかった。 |