3 「風音ー!どこに居るのー?!」 あれからしばらく、ポケモンセンターの周辺から街の端まで走り回ったが、風音は見つからない。 「蒼衣…風音の声、聞こえたりしない?」 蒼衣は辺りの様子を伺い、首を小さく横に振った。 「だめ、少し遠い」 この辺りにはいない…か。 どうしよう、もう陽もすっかり落ちたのに… 「…あ、」 「どうしたの、カナエちゃん?」 そうだ…うっかりしてたけど、風音は多分トリ目だから暗いところでは自由に動けないはず… あの子が飛び出したとき、陽は落ち始めていた。 つまり、 「皆、ポケモンセンターまで戻るよ!」 多分、風音はポケモンセンターの近くに居る。 確証はないけれど、そんな気がした。 走って、はしって、振りだしに戻って来た。 もう一度丁寧に、丁寧に辺りを見回す。 すると、さっきは見落としていた、ポケモンセンターの少し奥まったところにある木が目に留まった。 「風音…いるの?」 呼びかけると、小さくポポ、と鳴く声が返ってきた。 「怒らないから出ておいで、風音」 すると、ガサガサと動く気配がして、そして。 いつの間に擬人化していたのか、少女の姿の風音は枝から飛び降り、私の腕の中に、抱き着いた。 少しばつの悪そうな顔をしていたけれど、安堵の方が大きいようだった。 |