2 とにもかくにも、なぎに事情を説明する。 まだよく飲み込めないながらも、とりあえず彼女は頷いた。 私は改めて、風音に向き直る。 「風音、今日街の近くで出会った、メリープのなぎだよ」 「あの…よろしく、ね。風音ちゃん」 怖ず怖ずとなぎは風音に撫でるように触れる。 よかったね、女の子の仲間が増えて…と、言おうとした、そのとき。 「ポ?!」 「あ、」 どうやらなぎの静電気体質は人間の姿になっても健在らしく、驚いた風音が声を上げた。 一瞬の沈黙。 そして、 「いたっ!」 風音は、なぎの手をつつく。 鋭い嘴でつつかれたなぎの手からは小さく血が滲む。 「風音。なぎだって悪気はないんだから、やりすぎよ」 すると風音はぷい、とそっぽを向き、そして、 「あ、」 翼を広げ、窓から飛び立った。 「え、ちょ…風音?!」 何でそこまであの子が怒ったのか、いつの間に飛べるまでに回復していたのか… もう、何がなんだかわからない。 おろおろ、とする翡翠となぎ。 じ、と風音が飛び立った窓を見つめる蒼衣。 そして…立ち尽くす私。 「カナエ、」 さっきまで黙っていた蒼衣が口を開いた。 「風音は少し我が儘、かもしれない…けど、風音の気持ちも、少し、わかる」 僕も悪は苦手、と続ける。 「それより、カナエ。風音を探しに行かないと、」 そうだ、部屋で悩んでいる暇なんてない。 行こう、と残った皆を促して、私たちは部屋を飛び出した。 |