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とにもかくにも、なぎに事情を説明する。
まだよく飲み込めないながらも、とりあえず彼女は頷いた。
私は改めて、風音に向き直る。

「風音、今日街の近くで出会った、メリープのなぎだよ」

「あの…よろしく、ね。風音ちゃん」

怖ず怖ずとなぎは風音に撫でるように触れる。
よかったね、女の子の仲間が増えて…と、言おうとした、そのとき。

「ポ?!」

「あ、」

どうやらなぎの静電気体質は人間の姿になっても健在らしく、驚いた風音が声を上げた。

一瞬の沈黙。
そして、

「いたっ!」

風音は、なぎの手をつつく。
鋭い嘴でつつかれたなぎの手からは小さく血が滲む。

「風音。なぎだって悪気はないんだから、やりすぎよ」

すると風音はぷい、とそっぽを向き、そして、

「あ、」

翼を広げ、窓から飛び立った。

「え、ちょ…風音?!」

何でそこまであの子が怒ったのか、いつの間に飛べるまでに回復していたのか…
もう、何がなんだかわからない。

おろおろ、とする翡翠となぎ。
じ、と風音が飛び立った窓を見つめる蒼衣。
そして…立ち尽くす私。

「カナエ、」

さっきまで黙っていた蒼衣が口を開いた。

「風音は少し我が儘、かもしれない…けど、風音の気持ちも、少し、わかる」

僕も悪は苦手、と続ける。

「それより、カナエ。風音を探しに行かないと、」

そうだ、部屋で悩んでいる暇なんてない。
行こう、と残った皆を促して、私たちは部屋を飛び出した。


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