2 「いたっ!」 見つけた"何か"に触れたのか、伸ばした手を引っ込めた。 「翡翠?!どうしたの?」 すると翡翠はひりひりと手をさすりながら、わかんない、と呟いた。 「わかんない、ったって…」 翡翠が"何か"に触れたところをじっと見る。 すると、ガサリ、と草むらが揺れた。 何だろう? 条件反射か無意識か。 思えば、それはまったくの不注意だったのだが。 ぱちっ 冬場によく体験する、あの感覚が指先に走った。 セーターを着ると必ず遭遇する憎いやつ。 すなわち、静電気。 でも、何でこんなところで? 注意して草を掻き分けると、そこにはまあるい目のふわふわ毛玉。 「か…かわいい!」 メリープが、居た。 私の声に一瞬びっくりしたが、人懐っこいのか何なのか、逃げる気配がない。 もう一度触れてみようと、私はメリープに手を伸ばした、が。 「メェ…ッ!」 どうしたんだろう…? まるで、触られるのを嫌がる…というよりも、とても悲しそうな目。 「…カナエちゃん、ちょっといい?」 手を伸ばそうとした私を制止し、翡翠は言った。 「少し、この子の話、聞いてみる」 蒼衣ほど上手じゃないけど、と言って、翡翠はメリープに向き直る。 うん、うん、と何度も頷き、そして。 「…そっか、」 話を終えたらしい翡翠が振り返った。 それはとても、悲しそうな顔だった。 |