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「いたっ!」

見つけた"何か"に触れたのか、伸ばした手を引っ込めた。

「翡翠?!どうしたの?」

すると翡翠はひりひりと手をさすりながら、わかんない、と呟いた。

「わかんない、ったって…」

翡翠が"何か"に触れたところをじっと見る。
すると、ガサリ、と草むらが揺れた。
何だろう?
条件反射か無意識か。
思えば、それはまったくの不注意だったのだが。

ぱちっ

冬場によく体験する、あの感覚が指先に走った。
セーターを着ると必ず遭遇する憎いやつ。
すなわち、静電気。

でも、何でこんなところで?
注意して草を掻き分けると、そこにはまあるい目のふわふわ毛玉。

「か…かわいい!」

メリープが、居た。
私の声に一瞬びっくりしたが、人懐っこいのか何なのか、逃げる気配がない。

もう一度触れてみようと、私はメリープに手を伸ばした、が。

「メェ…ッ!」

どうしたんだろう…?
まるで、触られるのを嫌がる…というよりも、とても悲しそうな目。

「…カナエちゃん、ちょっといい?」

手を伸ばそうとした私を制止し、翡翠は言った。

「少し、この子の話、聞いてみる」

蒼衣ほど上手じゃないけど、と言って、翡翠はメリープに向き直る。

うん、うん、と何度も頷き、そして。


「…そっか、」

話を終えたらしい翡翠が振り返った。
それはとても、悲しそうな顔だった。


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