3 「いけ!風音!」 大丈夫、私は風音を信じているから。 ポポ!と一鳴きして風音が前に出る。 「ポッポ!電光石火だ!」 「風音!かわして、」 体当たり、と指示を出す前に相手の電光石火が決まる。 速い…! 「く…!」 大丈夫、先制はされたけど致命傷じゃない。 焦っちゃ駄目だ。 「風音、砂かけで目眩ましをしてそのまま突く!」 私の指令に、ハヤトさんが笑った気がした。 「ポッポ!風起こし!」 砂で目眩ましをかけたはずなのに、ハヤトさんのポッポの攻撃は正確だった。 どうして…?! 「俺のポッポの特性は"鋭い目"…そんな目眩ましは効かない!」 特性…! 昔にはなかったから、うっかりしていた… と、いうことは今まで主流にしていた砂かけから攻撃技のコンボは使えない、か…。 その一瞬、判断が遅れた。 「ポッポ、体当たり!」 どん、と音を立て、ハヤトさんのポッポが体当たりを決める。 もう、風音に残された体力は少ない。 「いいぞポッポ、空中から急降下でとどめだ!」 ハヤトさんのポッポが飛び立つ。 ええい、ままよ…! 「風音………竜巻!!」 「なっ?!」 風音が渾身の力を篭めて起こした竜巻は、空中に居たポッポを巻き込み、そして…… 「ポッポ、戦闘不能!」 竜巻が治まったあと、そこにはハヤトさんのポッポが目を回していた。 「やったぁ!」 ハラハラと私の隣で観戦していた翡翠がガッツポーズをした。 私も小さく拳を握る…が、 「まだだ!」 そう、まだ勝負はついていない。 「いけ、ピジョン!!」 ハヤトさんが次に出して来たのは、ピジョン…! 風音に任せるのは正直厳しい…か。 「風音、」 戻って、と言おうとしたとき、風音と目が合った。 最後までやらせて…その目は、確かにそう言っていた。 「…わかった。風音、電光石火!」 先に動いたのは、風音。 |