2 その日は朝から雨だった。 しとしとと降り続く雨。 こんな日は、酷く体調が悪い。 その日も、朝からズキズキと痛む頭痛に悩まされていたが、生憎薬が切れていた。 しまった。そう言えばこの間飲み切ってしまったか。 耐えられない程ではないが、天気予報によれば明日も天気は悪そうで、だとしたら症状の軽いうちに薬を買い足しておいた方が良いかもしれない。 重い身体を引きずるようにして、立ち上がった。 そのとき。 シャラララ ………え? 今、鈴の鳴るような音が耳元で聞こえた。 気のせい? 辺りを見回したが、勿論鈴の鳴るようなものなんてなくて。 疲れてるのかもしれない。さっさと薬を買って、今日はもうゆっくりしよう。 先日一目惚れして買ったばかりのコートを羽織り、薬の代わりではないが気を紛らわせるために口に飴を放り込んだ。 残った飴は袋ごとカバンの中へ。 幸い、近所のスーパーで愛飲している薬を取り扱っているのでほんのそこまでの買い物。 時刻は夕方。 天気が悪いとはいえ、夕食の支度のためにご近所の主婦達が一斉にスーパーに訪れる時間帯。 しまった。少しずらせば良かったか。 とは言っても、もう家を出てしまったものは仕方ない。 気合いを入れて、スーパーへ乗り込んで目的の薬を手にとり、そのままレジへ。 会計を済ませ、スーパーを出た。 |