7 「や、やっと着いたねぇ」 あまり高さがないんじゃないかと思っていたマダツボミの塔は、確かに高さはないんだけれど(3階建てのようだ)、昇ったり降りたりその辺にわらわらとお坊さんが居たりで、なかなか前に進めないのだ。 柱の側に居たお坊さんに勝って、いざ長老…と、奥を見たとき。 赤い髪の…少年。 まさか、ここで出会うなんて。 どうする…? 彼は私に気付いていない。 「ふん…いくぞ、ヒノアラシ」 きゅ!と彼の連れたヒノアラシは彼のあとに続く。 「あ…まって!」 止めなければ、彼を。 咄嗟に叫んだけれど、彼は私の声に気付かずに…あれは、穴抜けの紐? 次の瞬間、彼の姿は消えていた。 「あ…っ」 止められ、なかった。 足元から動揺の気配が伝わってきた。 そっか、あのヒノアラシは翡翠と一緒に育ったヒノアラシだ… 昨日の朝まで、一緒だったのに。 「翡翠…絶対に、止めようね」 視界の端に、見慣れた光が映った。 見ると、やはりというか少年姿の翡翠が居て。 「カナエちゃん…僕、絶対止めるよ、アイツ」 それは、初めて見る、翡翠の怒り。 共に育った仲間が奪われたことに対して見せた、怒り。 少年が居なくなったその場所をただただ静かに、見つめていた。 |