5 「着いたー!」 辺りがほんのりオレンジ色に染まりかけた頃。 ようやく、私たちはキキョウシティにたどり着いた。 「すごいねぇ…なんだか別の世界みたい」 いや、実際私にとっては別の世界なんだけども。 それを差し引いても、趣があるというか…そう、修学旅行で奈良や京都に行った時みたいな感じ。 蒼衣もなんだか楽しそうで、わくわくと辺りを見回している。 「蒼衣、よそ見してると置いてくよー」 キョロキョロしていた蒼衣は慌てたように追いかけてくる。そんな蒼衣を抱き上げ、私たちはマダツボミの塔に向かった。 今日はまだもう少し表も明るいし、マダツボミの塔に行って…明日は、キキョウジムに挑戦しよう。 あれ、そういえば夢の中で聞いた不思議な声が「塔で待っている」って言ってなかったっけ? もしかしたら、何かヒントもあるかもしれない。 よし、と小さく握りこぶしを作り、気合いを入れた。 蒼衣を見ると、小さな手で同じように私の真似をしていたのが、なんだかとてもかわいらしかった。 |