3 ともあれ、私たちは順調に30番道路を突き進み、キキョウシティへ向かっている…はずだった、が。 「あれ…行き止まり…?」 おかしい。 キキョウシティに着くはずが、何故だか民家の前に着いてしまった。 さっきの分かれ道で曲がるのを間違えたか。 仕方がないので引き返そうかとも思ったが、また迷うのも厭だし…民家で道を聞いたほうがいいかもしれない。 コンコン、と、民家の扉を小さくノックすると、「どうぞ」と声が聞こえたので、恐る恐る扉を開いた。 「すみません、失礼します…あの、道をお尋ねしたいんですが、」 中に居たのは初老の男性。 こちらを振り向き私と蒼衣を交互に見比べた後、君は、と呟き、言った。 「もしかして、カナエちゃんじゃないかい?」 「そうですけど、」 一瞬、今朝のタマオさんとの会話がフラッシュバックした。 何で私の名前… 「やっぱり。いやなに、驚かないでおくれ。わしはポケモン爺さん…ほれ、昨日ヒビキ君がわしのところに来たじゃろ。彼から聞いたんだよ、ラルトスを連れた女の子…君のことをね」 あ、なぁんだ。ヒビキくんから聞いたのか。 この人が、ポケモン爺さん… 「まあ、そこに突っ立ってるのも何だし、中に入りなさい。少し話をしよう」 「あ、はい」 おいで、と蒼衣を促して、案内されたテーブルに腰掛ける。 出された紅茶は、何だかとても温かい味がした。 |