2 じっと私を見てくる彼女の視線はなんだか真っ直ぐで、全てを見透かされそうだった。 「そう、ですけど…」 私がそう答えると、やっぱり、と彼女は笑った。 そして、にこりと微笑んで、言った。 「そうやと思いました。あんさん、お母様にそっくりどす」 待って。 私はこの世界の人間じゃないのよ。 なんで、私のお母さんを知ってるの? 「あの…貴女いったい、」 「私?私はタマオ。舞妓のタマオどす」 「いや、あの、そうじゃなくって…!」 「カナエはん」 ぴたり、と私の目を見てタマオさんは言った。 「今はまだ…そう、今はまだ、知るときと違います」 「今は…まだ…?」 「そう。今はまだ…もう少し、時期が来たら…そのとき、縁が合ったら、またお会いしましょ」 ほな、と一礼して、タマオさんは歩き出した。 すれ違ったとき、頭で揺れる髪飾りがシャラシャラと音を立てた。 その音は、まるで鈴の音のようだった。 「なん、だったの…いったい」 私はただただ、呆然と立ち尽くしてその後ろ姿を見つめることしかできなかった。 |