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「お待たせー」

それぞれの前にトレーを並べて、いただきますと手を合わせる。

無料だから、と味には正直あまり期待していなかったのだが、意外にイケる。

心配していた蒼衣と風音は人間用の食事でよかったようで、もぐもぐとスプーンを動かしている。

「そういえばさ、」

スプーンを口に運ぶのを止め、私は言った。

「風音、なんでまたあんな怪我してたの?」

ぴたり、と風音は動きを止め、そして口を開いた。

「それがさぁ、アタシにもよくわからないんだけど、どうやらコラッタのナワバリに間違って入っちゃったみたいでさ。こりゃヤバいわ引き返そう、としたところで不意打ちくらっちゃったみたいなのよね、これが」

ひょい、と肩を竦めながら言う。

「正面切ってならアタシだって負ける気はしないんだけど、不意打ちじゃどうしようもなくてね。でも次会ったらタダじゃおかないんだから!」

話す風音は段々ヒートアップしてきて、声のトーンが高くなってきている。
うーん…どうやら風音はちょっとばかりおてんばさんみたいだ。
蒼衣も翡翠も、唖然と風音を見つめている。

「ま、そんなわけでさ」

ニ、と笑って風音は言った。

「これから、よろしくね?」

そんなの、もちろん

「こちらこそ!」

「よろしく、風音」

「チコ!」



段々賑やかになってきてなんだか楽しくなってきた。
明日はキキョウに行けるといいな。

少し狭いけれど、みんなで一緒のベッドに寝たら、なんだかとても温かかった。




そして翌朝。
私はある事件を知ることになる。


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