4 「お待たせー」 それぞれの前にトレーを並べて、いただきますと手を合わせる。 無料だから、と味には正直あまり期待していなかったのだが、意外にイケる。 心配していた蒼衣と風音は人間用の食事でよかったようで、もぐもぐとスプーンを動かしている。 「そういえばさ、」 スプーンを口に運ぶのを止め、私は言った。 「風音、なんでまたあんな怪我してたの?」 ぴたり、と風音は動きを止め、そして口を開いた。 「それがさぁ、アタシにもよくわからないんだけど、どうやらコラッタのナワバリに間違って入っちゃったみたいでさ。こりゃヤバいわ引き返そう、としたところで不意打ちくらっちゃったみたいなのよね、これが」 ひょい、と肩を竦めながら言う。 「正面切ってならアタシだって負ける気はしないんだけど、不意打ちじゃどうしようもなくてね。でも次会ったらタダじゃおかないんだから!」 話す風音は段々ヒートアップしてきて、声のトーンが高くなってきている。 うーん…どうやら風音はちょっとばかりおてんばさんみたいだ。 蒼衣も翡翠も、唖然と風音を見つめている。 「ま、そんなわけでさ」 ニ、と笑って風音は言った。 「これから、よろしくね?」 そんなの、もちろん 「こちらこそ!」 「よろしく、風音」 「チコ!」 段々賑やかになってきてなんだか楽しくなってきた。 明日はキキョウに行けるといいな。 少し狭いけれど、みんなで一緒のベッドに寝たら、なんだかとても温かかった。 そして翌朝。 私はある事件を知ることになる。 |