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ぱちぱちと数回瞬きをして、風音は不思議そうに自分の身体を見つめる。

か…

「風音かわいい!!」

ぎゅう、と私は風音に抱き着く。

「え、あ、ちょっとカナエ?!」

わたわたと慌てる風音。
いけない、あまりに風音がかわいかったから、つい。

「ごめんごめん。風音があんまりにもかわいかったからさ」

「やだ、やめてよ照れるじゃないの。それはそうと、改めて助けてくれて、ありがとう」

「気にしないで、私が好きでやったことだしさ」

あははは、と笑って、皆で連れだって食堂へ向かった。
翡翠は原型だからポケモンフーズときのみで…蒼衣と風音、人間のご飯でいいのかな…?
でも人の姿でポケモンフーズ食べてるのもおかしいし…

悩んだ末に、翡翠用にポケモンフーズときのみ、蒼衣と風音、それに私はオムライス。
運ぶのを蒼衣に手伝ってもらい(一応男の子だし)、風音には翡翠と一緒に席を取ってもらった。

注文を済ませ、カウンターの傍で待とうと脇に避けたとき。

どんっ

何かにぶつかった。
視線を移動させると、赤い髪のやたらと目付きの悪い少年。
歳はヒビキくんたちと同じくらいだろうか。
どこかで見たような気がしなくもないんだけどな…

「あ、すみません」

人にぶつかった、と認識したので謝ったところ、彼は「ふんっ」とこちらを一瞥し、去っていった。
なにあれ感じ悪い!
赤いアイツはカレーを注文していたようで、カウンターから受け取っている。
よし、アイツのことはカレーの王子様って呼んでやろう。

「腹立つよねぇ、蒼衣」

「よくわからない。けど、その呼び方はどうかと思う」

「蒼衣…あんた、割とズバッと言うわよね…」

そうこうしているうちに、「24番、オムライス3つにポケモンフーズときのみできたよ!」と、カウンター越しに呼ばれた。

ともすると、単純というか、私の中からあっさりと赤いアイツのことは消えていた。
それが、後に重大な事件と関わりがあるとは、このときの私は予想していなかった。


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