2 「よし!ご飯にしよっか」 食堂へ向かおうと、蒼衣と翡翠を呼び、風音を抱え上げようと、ベッドの傍に寄る。 すると彼女はぱちくりと不思議そうな表情で翡翠を見つめた。 「風音、翡翠が姿変わったの不思議に思ってる」 そんな風音の代弁をする蒼衣。 「そっか。そりゃポケモンが人間の姿してたら驚くよねぇ」 そうだ。風音と出会ったときは、蒼衣も翡翠も少年の姿をしていたから。 「蒼衣、風音に説明してあげることできる?」 「できる。ちょっと待ってて」 言って蒼衣は風音の方に向き直り、数瞬。 突然、風音が「ポ、ポポッポ!」と騒ぎ出した。 面食らった蒼衣が思わず後ずさる。 「な…なに?どうしたの?」 「…そんなおもしろそうなこと早く言ってよ!私にもちょうだい!…だって」 どうやらこの風音嬢は少々気が強いようだ。 「風音…ほんとにいいの?」 確認するように問い掛けると、「ポポ!」と元気よく返事が返ってきた。 肯定のようだ。 整理したばかりのカバンからオレンジの飴を取り出し、風音の前に差し出した。 2、3度啄み、飴は風音の口へ。 すると、なんだか見慣れてしまった光が風音を包み、光がおさまったそこには一人の少女。 明るい茶髪は跳ね気味で、少し釣り上がった瞳は鳶色。 肩から背中が露出した和服に近い服を着ている。 怪我をしていたのは肩甲骨のあたりになるようで、痛々しい傷が見える。 |