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「……垂、」

マント姿の彼が立ち去ったあと。
正直、どうしたらいいかなんてわからない…けど、

「垂。私を、あのギャラドスのとこまで連れていって欲しいの」

「カナエ、アンタ正気?!」

「そうよ、尻尾でちょっと弾かれただけでも吹っ飛ぶわよ?」

風音と垂が口々に叫ぶ。
他のみんなも、あまりいい顔はしていない。
けど、さ。
見てしまった、知ってしまった以上は、やっぱり放ってなんておけない。
例えそれが、人間のエゴだとしても。


「…ま、仕方ないわね」

きらきら、と垂を光が包み、その姿を原型のパウワウに変えた。

『私はさ、そんなカナエだから着いて行こうって思ったんだもの』

ほら、お乗りなさい。と、垂は背を向ける。

「ありがとう、垂!」

早速垂の背に捕まろうとする、と、

「カナエちゃん、待ってよ」

「そうよぅ。アンタ1人で、あのギャラドス相手に素手でやる気?」

「せや、カナエが行くんやったら、あたしらかて行くで」

「私たちだって、あのギャラドスを何とかしてあげたいのは一緒だもの」

そして、みんなその姿をそれぞれの元の姿に変える。

『カナエ、大丈夫。僕たちも一緒に行くから』

ぎゅ、と蒼衣はその小さな手で、私の手を握った。
その感覚に、なんだかとても安心する。

「ん…ありがとう、みんな!」

みんなを一度ボールに戻して、今度こそ私は垂に捕まった。

「垂、よろしく」

『安全運転は保証できないわよ』

「ヘーキ。最初だって、そうだったじゃない」

それもそうね、とクスリと笑って、垂は私を乗せて湖の中央を目指して進み出した。


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