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私を殺して―――

確かに彼女はそう言った。

「カナエ!何ボサッとしてんねん!」

「だって炬、このギャラドス…、」


「改造された、ポケモン」


突然、私たちの誰のでもない、第三者の声が聞こえた。
ううん、それよりも…

ざり、と土を踏む音が背後から聞こえた。
振り向くと、燃えるように赤い髪に、黒いマントを羽織ったお兄さん。
その目には、鋭い光が宿っている。

「改造って…改造って、どういう…」

「その言葉の通り。あのギャラドスは、ロケット団によって改造されたポケモンだよ。攻撃を強化され、その能力を誇示するかのように体の色も」

「そんな…!」

だとしたら、そんなのひど過ぎる。
望まない力、望まない容貌。
だから、だ。
絶望して、絶望して、絶望して、絶望して、あんなにも悲痛な声で訴えていたんだ。

「元に…元に戻す方法って、」

一縷の望みをかけて。
何者かもわからないけれど、突然現れたマントのお兄さんに私は尋ねた……けど、

「残念ながら、ああなってしまった以上…あのまま生きるか、もしくは倒すか。戻す道は、今のところ…ない」

そんな…!そう言おうとしたが、私はその言葉を飲み込んだ。
彼の横顔が、すごく悔しそうに歪んでいたから。

私だけじゃない。
この人も、悔しいんだ。

「…君、」

不意に、お兄さんが口を開いた。

「オレは一度、チョウジに戻ってこの件について調査をする…ここは、任せてもいいかな?」

「任せるって言われても…」

「大丈夫。君ならできるよ」

そう言ってお兄さんは一度私の肩を叩き、そして、

「カイリュー!チョウジまで、すぐに戻ってくれ!」

モンスターボールからカイリューを出し、その背中に飛び乗った。

カイリューは一度私を見て、そして、その翼を広げて空高く飛び上がった。

「あ、待っ…!」

引き留める間もなく。
あっという間に、カイリューの姿は見えなくなってしまった。


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