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「カナエちゃん、どうしたの?」

ずっと空を見上げている私に、不思議そうに翡翠が問うた。

「今ね、空をキラキラした大きい鳥が飛んでたんだよ」

「キラキラの大きい鳥?!見たい!」

どこ、どこ、とキョロキョロ辺りを見回す翡翠。
あっちだよ、とさっきまで飛んでいた方を指さす…と。

「あれ…」

「いないよ、カナエちゃん」

つまらなさそうに翡翠が言う。
見間違い…だったのかなぁ。
ううん、そんなことはない。確かに私はこの目で見たもの。

「ごめんね翡翠。今度見つけたらすぐ教えてあげるからね」

「ほんと?!約束だよ!」

約束、と翡翠と指切りひとつ。
小さな約束が、なんだかとても嬉しかった。

パタパタと足下で風音が羽根を広げる。
まだ飛べない彼女(女の子のようだ)だけれど、一緒に傷を癒していこう。
きっとすぐに飛べるようになるよ。
ぎゅ、と風音を両手に抱きかかえて、そう、思った。


それは、ヨシノシティまであとすこしのときのできごと。


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