4 「カナエちゃん、どうしたの?」 ずっと空を見上げている私に、不思議そうに翡翠が問うた。 「今ね、空をキラキラした大きい鳥が飛んでたんだよ」 「キラキラの大きい鳥?!見たい!」 どこ、どこ、とキョロキョロ辺りを見回す翡翠。 あっちだよ、とさっきまで飛んでいた方を指さす…と。 「あれ…」 「いないよ、カナエちゃん」 つまらなさそうに翡翠が言う。 見間違い…だったのかなぁ。 ううん、そんなことはない。確かに私はこの目で見たもの。 「ごめんね翡翠。今度見つけたらすぐ教えてあげるからね」 「ほんと?!約束だよ!」 約束、と翡翠と指切りひとつ。 小さな約束が、なんだかとても嬉しかった。 パタパタと足下で風音が羽根を広げる。 まだ飛べない彼女(女の子のようだ)だけれど、一緒に傷を癒していこう。 きっとすぐに飛べるようになるよ。 ぎゅ、と風音を両手に抱きかかえて、そう、思った。 それは、ヨシノシティまであとすこしのときのできごと。 |