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それは、何とも形容しがたい光景だった。

夕日がきらきらと塔や舞妓さんの着物の金糸に反射して、すごく綺麗。
思わず、何もかも忘れて見入ってしまいそうになる。


しゃらららら
  しゃらららら
 しゃららら
    しゃらららら
   しゃらららら


鈴の音が幾重にも重なり、共鳴する。
……と、



――ひとつ
一歳(ひととせ)廻りても

――ふたつ
普遍に在るはこの世の理(ことわり)

――みっつ
未来も過去も、総ての時空(とき)を

――よっつ
喜びも哀しみも

――いつつ
いずれ訪れる終焉も

――むっつ
無明を照らしなるは彼の光

――ななつ
なな色の虹を描きて、今ここに来たり給え


しゃん!と、五つの鈴が鳴り響いた。
……そのとき。



はらり。



それは、一枚の羽根だった。
きらきらと七色に輝くその羽根を、私は知っている。

ラジオ塔の局長さんにもらった羽根と、同じ。


ぐっと息を飲んで紅に染まる空を見上げれば、そこには。


「……っ、」


言葉が、出てこなかった。
それは、あまりにも美しくて神々しくて。


ふわり、とそのポケモン……ホウオウは、ゆっくりそこに降り立った。
そして、その背中から降りて来た人を、私は知っている。

まさか……まさか、

身体が震えて、声がうまく出てこない。
からからと妙に喉が渇く。


一歩。
その人は私に近付き、そして。

「カナエ……!」

会いたかった、と。
私を、抱きしめた。

私とよく似た目をしたその人は、

「おかあ……さん、」

会ったことはない。
でも、間違えるはずがない。

ようやく、会えたんだ。
はらり、はらり。
頬を、温かいものが伝った。


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