3


さあ、急ごう。
私はこの先ポケモンセンターに宿泊だけど、ヒビキくんはおつかいを終わらせてワカバに帰らなくてはいけない。
あまりのんびりもしていられないのだ。
私たち一行は「元気でね」とポッポに別れを告げ、その場を後にした。

しかし。

ちょん。
ちょん、ちょん。

着いてくるのだ、先程のポッポが。

「ねえ、カナエさん」

「うん、わかってる」

「カナエちゃん、ポッポついてきてるよ?」

気になるのだろう、チラチラと後ろを振り返りながら翡翠は言う。
傷薬で手当てしたとはいえ、怪我でまだ動かしにくそうな羽根。
羽ばたくことはせず、ちょんちょんと地面を跳ねるポッポ。
そんなポッポを無視して歩き続けるなど当然できず、私たちは歩みを止めた。

「カナエ。ポッポ、カナエと一緒に行きたい」

先程まで黙っていた蒼衣がぽつりと言った。

「蒼衣、それ本当?」

「本当。ポッポ、治してくれたカナエのこと気に入ってる」

それを聞いて、なんだか嬉しくなった。
再びポッポの前にしゃがんで問いかける。

「一緒に来る?」

ちょんちょん、と再度ポッポはその場で飛び跳ね、「ポポ!」と鳴いた。
それは、まるで「これからよろしくね」と言っているようだった。

そらがとても高くて青い。

この大空を悠然と風を切って飛べるように。
私は、君をこう名付けよう。

「風音。君の名前は風音。どう?」

「いい名前だね、カナエさん」

ヒビキくんが言った。

ふと空を見上げると、大空を舞う大きな陰が見えた。
なんだかその身体がキラキラしているように見えた気がしたけれど、逆光だからよくわからない。
わからないけれど、私はなんだかそのポケモンを知っている気がした。
ひどく懐かしいような、そうでないような。
そんな、不思議な感覚。


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