7 「そ……んな、」 にわかには、信じられない話だった。 だって……そうだとするなら、私は…… タマオさんから語られた話をゆっくりと咀嚼する。 身体が震えるのが自分でもわかる。 私は……、 「カナエ」 そっと、手に温もりが触れた。 真っ白なその袖の持ち主は、 「蒼衣……、」 「言ったでしょ。何であろうとカナエはカナエ」 「そうだよ、それにカナエちゃんは図太いのがカナエちゃんっしょ?」 「意味わかんないわよぅ、馬鹿翡翠。でもまあ、そういうことだわよ」 みんなの言葉に顔を上げると、その目は今までとまったく変わらないものだった。 その眼差しに、何ともいえない安心を覚える。 ゆるゆると、強張っていた身体が融解していく。 「ええお仲間に、出会いはったんやね」 そんな私たちを見て、タマオさんやマツバさんは微笑んだ。 「はい……!みんな私の大事な友達で、家族なんです」 「か。そんなん今更やろ、こっぱずかしいわ」 ばりばりと炬が頭をかいた。 「そうよ、カナエちゃん。それに、私たちだって今は似たようなものじゃない?」 「なぎの言う通りだわ。私たちだってポケモンだけど、"今"はそうじゃないでしょう?」 言われてみれば、確かにそれも一理ある。 違うようで、どこか似ている私たち。 「あのな、カナエはん。それにもちゃあんと、理由がありますんえ」 なぎの、そして垂の言葉を、タマオさんは捉えた。 「理由……?」 タマオさんはにこりと頷くと、ちらりとマツバさんの方へ視線を遣った。 「……ほな、マツバはん。そろそろ行きましょか」 「そうですね。今ならちょうどいい頃合いでしょう」 そうしてタマオさんが立ち上がると、マツバさん、そしてコウメさん以下それに倣う。 「あの……っ!」 「この先は……本人さんに言うてもろうた方がええですやろ。さ、行きましょ」 そうしてくるりと踵を返し、襖の方へ向かう。 「行くって、どこに……」 タマオさんはぴたり、と歩みを止めると、くるりとこちらを振り向いた。 「もちろん、スズの塔ですえ」 「だから、僕が来たんだよ」 言われてみれば、何故か納得できる場所だった。 |