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「そ……んな、」

にわかには、信じられない話だった。
だって……そうだとするなら、私は……

タマオさんから語られた話をゆっくりと咀嚼する。
身体が震えるのが自分でもわかる。
私は……、


「カナエ」

そっと、手に温もりが触れた。
真っ白なその袖の持ち主は、

「蒼衣……、」

「言ったでしょ。何であろうとカナエはカナエ」

「そうだよ、それにカナエちゃんは図太いのがカナエちゃんっしょ?」

「意味わかんないわよぅ、馬鹿翡翠。でもまあ、そういうことだわよ」

みんなの言葉に顔を上げると、その目は今までとまったく変わらないものだった。
その眼差しに、何ともいえない安心を覚える。
ゆるゆると、強張っていた身体が融解していく。


「ええお仲間に、出会いはったんやね」

そんな私たちを見て、タマオさんやマツバさんは微笑んだ。

「はい……!みんな私の大事な友達で、家族なんです」

「か。そんなん今更やろ、こっぱずかしいわ」

ばりばりと炬が頭をかいた。

「そうよ、カナエちゃん。それに、私たちだって今は似たようなものじゃない?」

「なぎの言う通りだわ。私たちだってポケモンだけど、"今"はそうじゃないでしょう?」

言われてみれば、確かにそれも一理ある。
違うようで、どこか似ている私たち。

「あのな、カナエはん。それにもちゃあんと、理由がありますんえ」

なぎの、そして垂の言葉を、タマオさんは捉えた。

「理由……?」

タマオさんはにこりと頷くと、ちらりとマツバさんの方へ視線を遣った。

「……ほな、マツバはん。そろそろ行きましょか」

「そうですね。今ならちょうどいい頃合いでしょう」

そうしてタマオさんが立ち上がると、マツバさん、そしてコウメさん以下それに倣う。

「あの……っ!」

「この先は……本人さんに言うてもろうた方がええですやろ。さ、行きましょ」

そうしてくるりと踵を返し、襖の方へ向かう。

「行くって、どこに……」

タマオさんはぴたり、と歩みを止めると、くるりとこちらを振り向いた。


「もちろん、スズの塔ですえ」

「だから、僕が来たんだよ」



言われてみれば、何故か納得できる場所だった。


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