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その他にも、それらの記事に記された内容は多少の違いはあるものの、身に覚えのあるものがほとんどだった。

例えば、ヒワダタウンでのヤドンの事件。

例えば、アサギシティの灯台が消えてしまったこと。

例えば、ロケット団が壊滅寸前まで追い込まれたこと。


これらの事件は、実際に10年前にこのジョウト地方で起こったことだという。
そしてそれらの事件に共通しているのは、解決の陰に一人の少女の姿があったらしい、ということだった。

彼女の名は、集められたどの記事にも載ってはいなかった。
偶然か……あるいは、


「どうだい?」

一通り読み終わった頃合いを見計らって、ウツギ博士は口を開いた。

何も……何を言っていいのか、わからなかった。
細かいものからそこそこのレベルでの差異は、確かにある。
でも大筋だけなぞれば、私が経験してきたものとがっちり符合するのだ。

「これ……、本当に10年前にここで起こったこと…なんですか?」

偶然というには、あまりにも合致しすぎる。

私の質問に、しかしウツギ博士はゆっくりと首を横に振った。

「それがね、残念ながら僕がこのジョウトに研究所を構えたのは、ここ数年の話なんだ。だから、10年前の話は詳しくは知らないんだよ」

申し訳なさそうに、眉を少し下げる。

「そうですか…、」

何かを知っているのなら、博士から直接話を聞きたかった。
でも、残念ながらそれは叶わないようだ。

「……カナエちゃん、逆に僕からもいいかい?君は"何"を知っていて、"誰"を探しているんだい?」

「それは……、」

私は迷った。
話せないことではないし、むしろ博士にはこんなにも協力してもらっているのだから、話さなくちゃいけないんだと思う。

……でも、どう説明すればいいんだろう。


"私のお母さんがここにいるかもしれないけれど、その年齢が合致しない"

だなんて。

「あの…私自身、どういうことかわからないので、どう説明したらいいかわからないんです」

「いいよ、聞こう」

ウツギ博士はどこまでも優しい。
その言葉に安心を覚えて、私は"お母さん"のことを話し始めた。


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