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「あ、ウツギ博士……ええ、カナエです。今フスベを出たんで、もうすぐワカバに……あ、」

『どうしたのよぅ、カナエ?』

ジムを出てすぐに風音の背中に乗って、45番道路の上空を通って私たちはワカバタウンを目指していた。
いい天気だけど、やっぱり風が当たると少し寒い。

今から研究所へ行くとウツギ博士に連絡をしていた…ところなんだけど。
視界の端に、一瞬…きらりと光るものが横切った。
私は……あの色を知っている。
けれど、それをどこで見たのかはすぐに思い出すことができなくて。


「あ…いえ、なんでもないです。とりあえず、夕方には着くと思います」

ぴ、とポケギアを切る音が風を切る音に紛れる。

『……で、どーしたって?』

電話が終わったのを見計らって、風音は口を開く。
……一瞬しか見えなかったけど、多分間違いない。

「なんかね、あっちの…暗闇の洞窟の方に、光るものが飛んでる気がしたんだけど…、」

『そぉ?アタシ気付かなかったけど…見間違いとかじゃなくて?』

改めてそう聞かれると少し自信がなくなる……けど、多分間違いない。
あれはどこで見たんだっけ……

「あ、」

『なに、どうしたのよぅ?』

「ううん…前に、さっき見た光をどこかで見た気がしたんだけど……思い出した」

あれは……私がここに来てすぐの頃。
ワカバを出てヨシノに向かっている途中……大空を横切った光。

『ふ…ぅん?でもアタシも長いこと鳥ポケモンやってるけど、光るポケモンなんて聞いたことないわよさ』

「うん…」

でも、多分あの色は間違いない。
……それに、一瞬しか見えなかったけど。
その上に、誰かが乗っていた気がする。

『……ま、なんにせよもうすぐワカバに着くわよぅ。しっかり捕まってなさいな』

そして風音はぐんと少しスピードを上げる。
下を少し見てみれば、見覚えのある景色。

「風音、覚えてる?あの辺で風音と会ったんだよね」

ワカバからヨシノへと続く道路で出会った、傷付いたポッポ。
でも、今はこんなにも素敵なピジョットに進化した。

『もち、覚えてるわよぅ。どうしたのよさ、急に改まってさ』

「んー、なんでもないよ」

『変なカナエ。さ、もうそろそろ降りるわよぅ』

そして風音はスピードをゆるやかに落とし、徐々に高度を下げていった。


見覚えのあるワカバの街が、視界に広がった。


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