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――長老様の話を纏めるとこうだ。


以前、サナエという私によく似た女の子がフスベに訪れたらしい。
歳の頃は私と同じくらいだったようだ。
彼女は不思議な雰囲気を纏っていたのでよく覚えているという。
(ちなみに、ワタルさんも彼女に会っているのだという)

彼女は数日でフスベを離れたが、風の噂でその2年後ほどに女の子を出産したという話を聞いた。

しかしそれから彼女の行方は知れず、その足取りは……

エンジュシティで、途絶えたという。


しかし、合点がいかないのはその女の子が産まれたという時期だ。
もし……もし、そのサナエという人物が本当に私のお母さんならば、今年で30代後半になるはず。

なのに……なのに、その女の子が産まれたのは、今から7年程前だという。
計算が、合わない。
疑うわけではないけれど、もしこの話が本当だとするならば、サナエと呼ばれた彼女は今は27くらい。
そして、産まれた女の子は7歳くらいということになる。



……わからない。
最初はそのサナエという彼女がお母さんだと思っていたけど、今の話を聞いているとその自信もなくなってきた。


「…しかし、驚いたよ。カナエさん…見れば見るほど、彼女に瓜二つだ」

長老様は改めてまじまじと私を見る。
その視線に、妙な居心地の悪さを感じる。

「そんなに、その……サナエさんと私は似ているんですか?」

すると長老様は、慈しむように愛おしそうに目を細めた。

「ああ、よく似ているとも。特に目元なんかそっくりだよ」

「ああ、オレも最初チョウジで会ったときあれって思ったんだ。どうしてサナエさんが、って」

そっか…あのときのワタルさんの反応は、私とその人を見間違えたから、なんだ。

「あの…っ!すみません、そろそろ私…」

考えれば考えるほど頭がごちゃごちゃになってきて、ゆっくり考えたかった。
ここから、一度出たかった。

そんな私の様子に、ワタルさんは

「じゃあ、外まで一緒に行こう」

と言ってくれた。
ワタルさんのカイリューに乗せてもらい、気付けばフスベジムの前にいた。


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