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目をこらしてみると、それはミニリュウたちが戯れる姿。
水面の碧にその体が煌めいて、なんとも言えない神秘的な情景。
そのミニリュウたちが戯れるそのすぐそばに、おそらくあれがイブキさんの言ってた祠…なんだろう。

「きれ…い、」

でも、その幻想的な情景に見入ってしまってどうしてだろう、身体がうごかない。
いつまでも見ていたくなるような、不思議な感覚。

「カナエ、」

は、と蒼衣が私を呼ぶ声で我に返った。
そうだ。この先の祠に行かなくちゃ、

「えっと…垂ってうずしお使えたっけ?」

よく見るとミニリュウたちがいるところの近くに大きな渦ができていて、普通の波乗りでは通れそうにない。
足元で楽しそうに水で戯れる垂にきいてみれば、

『使えるわよ』

との頼もしい答え。
じゃあ善は急げというわけで、他のみんなをボールに戻して垂の背中へ。

『渦を抜けるときはしっかり捕まってないと振り落とされるわよ?』

「うん、わかった。お願いね、垂」

そしてゆっくりと離岸する。
ミニリュウたちは私たちに興味を持ったのか、遠巻きにこちらを眺めてくる。
(さすがに近付いてはこないけど)

『あ、またニンゲン』

『珍しいね、一日にこんなにおじいちゃん以外のヒトが来るなんて』

『でもさっき来たのは若だよ』

『うん。兄上、久しぶりに帰ってきたもんね』

口々にミニリュウたちはそんな雑談をしている。
それによれば、どうやら今日は私以外に先客がいるらしい。
(兄上、というのはやっぱりハクリューやカイリューなんだろうか?)

あれ、そしたらもしかして祠の中って取り込み中とかじゃないの?
私が行っても大丈夫なのかな…?

『カナエ、そろそろ渦に入るわよ?』

そんなことをふと考えているうちに渦は近付いてきたようで、垂が警告を発した。

「あ、うん。了解」

ぎゅ、と垂にしっかり捕まると、次の瞬間身体にぐいと強い遠心力がかかる。

「…っ!」

荒ぶる水流を掻き分け、私たちは祠を目指して進み始めた。


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