4 いつだってアナタはアタシを見てはいなかった。 アナタが追い続けているのは、姿を消したあの方の面影。 あの方に恩義がないわけではないけれど、アタシにとってはアナタ以上にはなりえない。 それでもアナタがあの方を第一というならば、アタシは自分の気持ちなど押し殺しましょう。 あの方を第一と言いましょう。 振り向いてもらえないのが辛いなんていう気持ちは、もうとっくに捨て去った。 それでも、やっぱり時々胸は痛む。 胸が痛むのを忘れるために、アタシは任務に没頭した。 アナタの手足となれるこの任務だけが、アタシがここに居る意味だから。 そうして任務に没頭する中、ランスからおもしろい子の話を聞いた。 そして、意外にもすぐに彼女とまみえるときは来た。 チョウジでの任務中、アジトに侵入者がいると聞いて出向いてみれば、一見少年のような女の子。 ああ、この子がランスの言っていた子だな、というのはすぐにわかった。 話に聞いていた通り、今までアタシ達を追いかけてきた連中とは、どこか違った。 そのまっすぐさに、どこか惹かれた。 だから、かもしれない。 つい、あの子に本音を漏らしてしまった。 あの子はアタシを笑うでもなく蔑むでもなく、ただ、共感した。 何故だかそれが、嬉しかった。 …どこかの神話では、アテナは永遠の純潔、それに知恵と武勇を司る女神らしいというのを知った。 純潔というには遅すぎるかもしれないけれど、知恵と武勇を司る"アテナ"の名に相応しく、アタシはこの身を任務に捧げましょう。 アナタが諦めない限り、いつまでも。 純潔は…そうね、アタシよりもずっとあの子に似合うんじゃないかしら? まっすぐな目をした、あの子に。 もう、あの子と会うことはないだろうか。 もし、叶うのならば…一度、今度は敵味方関係なくゆっくり話をしてみたいものだわ。 だってアタシ個人としては、あの子が気に入っているんだもの。 例え彼女が、ロケット団の敵だとしても。 それくらいは許してくれるでしょう? ねぇ、アポロ。 |