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いつだってアナタはアタシを見てはいなかった。
アナタが追い続けているのは、姿を消したあの方の面影。

あの方に恩義がないわけではないけれど、アタシにとってはアナタ以上にはなりえない。

それでもアナタがあの方を第一というならば、アタシは自分の気持ちなど押し殺しましょう。
あの方を第一と言いましょう。

振り向いてもらえないのが辛いなんていう気持ちは、もうとっくに捨て去った。
それでも、やっぱり時々胸は痛む。
胸が痛むのを忘れるために、アタシは任務に没頭した。
アナタの手足となれるこの任務だけが、アタシがここに居る意味だから。

そうして任務に没頭する中、ランスからおもしろい子の話を聞いた。
そして、意外にもすぐに彼女とまみえるときは来た。
チョウジでの任務中、アジトに侵入者がいると聞いて出向いてみれば、一見少年のような女の子。
ああ、この子がランスの言っていた子だな、というのはすぐにわかった。

話に聞いていた通り、今までアタシ達を追いかけてきた連中とは、どこか違った。
そのまっすぐさに、どこか惹かれた。

だから、かもしれない。
つい、あの子に本音を漏らしてしまった。
あの子はアタシを笑うでもなく蔑むでもなく、ただ、共感した。
何故だかそれが、嬉しかった。



…どこかの神話では、アテナは永遠の純潔、それに知恵と武勇を司る女神らしいというのを知った。
純潔というには遅すぎるかもしれないけれど、知恵と武勇を司る"アテナ"の名に相応しく、アタシはこの身を任務に捧げましょう。
アナタが諦めない限り、いつまでも。

純潔は…そうね、アタシよりもずっとあの子に似合うんじゃないかしら?
まっすぐな目をした、あの子に。


もう、あの子と会うことはないだろうか。
もし、叶うのならば…一度、今度は敵味方関係なくゆっくり話をしてみたいものだわ。
だってアタシ個人としては、あの子が気に入っているんだもの。
例え彼女が、ロケット団の敵だとしても。


それくらいは許してくれるでしょう?
ねぇ、アポロ。


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