8 ボールから出た時と同じように、不思議そうに眺めた後。 「カナエちゃん!」 と叫ぶと私の方にダイブしてきた。 流石に少年の身体でいきなり突撃されるのは受け止めきれず、翡翠を抱えて床に倒れ込んだ。 蒼衣が心配そうに覗き込んでくる。 大丈夫だよ、と言って身を起こす。 「驚いたね…やっぱりその飴が引き金になっているのかな。よかったら、2、3個ちょっと僕にくれないかい?調べてみたいんだ」 幸い飴はたくさんある。 私は「どうぞ」と言って、博士に適当に飴を手渡した。 「とりあえず、しばらくは蒼衣君も翡翠君も少年の姿のままだろうから、そのまま一緒に行動すればいいよ。恐らく疲れたら元の姿に戻るだろうから、そうしたらボールに入れてあげるといい」 「わかりました」 「とりあえず、ここから一番近いのはヨシノシティだ。そして、その次のキキョウシティから先には各地にポケモンジムがあるから、挑戦してみるのもいいかもしれない」 「そうですね…何か情報を集めながら、試してみようかな」 ね、蒼衣に翡翠、と言うと、二人は力強く頷いた。 「博士、ヒビキくん、コトネちゃん。色々本当にありがとうございました!」 「いやいや。まだ本質が分かったわけじゃないからね。こっちでも何か分かり次第、すぐに電話するよ」 「まだまだ慣れないことも多いと思うけど、何かあったらすぐに電話してね!」 「ありがとう…じゃあ、いってきます!」 行こう、と蒼衣と翡翠の手を取って、私は研究所から踏み出した。 不思議な世界で、私の新しい冒険が始まる。 その日は清々しい青空で、正に冒険日和だった。 |