7 見覚えのある光が蒼衣を包み、それはすぐに収まった。 そこに居たのは、紛れも無く昨日の少年の姿をした蒼衣だった。 「カナエちゃん…これが、君の言っていた人型…かい…?」 「そう、です…」 何がどうなったのかよくわからないけど。 今朝元に戻ったと思った蒼衣は、再び少年の姿になっていた。 「うわ…俺、こんなの初めて見た…」 「私も…」 ヒビキくんとコトネちゃんも唖然としている。 「もしかしたら、感情の高ぶりなどによって人型をとるようになった…のかもしれないね。今、翡翠君がじゃれていた時に変化が起こったようだし。もう少し成長すれば、自由に姿をコントロールできるようになるかもしれない」 相変わらず博士は驚きながらも冷静で、よく観察していたようだ。 「あの、博士」 私はふと疑問に思ったことを聞いてみた。 「もし、私が翡翠に飴をあげたら…翡翠も人型をとったりするんでしょうか…?」 「断言はできないけれどね。その可能性は…否定できないかな。ただし、試すのは翡翠君の意思があってからだよ」 そうだよね。 いくら興味があるからといって、勝手に実験体にするような真似はしちゃいけない。 「とは言っても、なぁ…」 伝えるにしろ、翡翠にどう説明したものか。 そのとき。 「カナエ。僕が、伝える」 先程まで翡翠とじゃれていた蒼衣が言った。 「できるの?」 「ラルトス、気持ちを伝えるの得意」 そう答えて、蒼衣は翡翠の方に向き直った。 数瞬の後、 「大丈夫。翡翠も、なってみたい、って」 振り返った蒼衣は、そう言った。 私はカバンからレモンの飴を取り出し、翡翠の前に差出した。 すると彼がぱくりと飴を口に含み、程なくして。 先程のような光が翡翠を包み、其処には赤いくりくりとした目が特徴的な少年が居た。 |